これまで、旧OVAやアニメの劇場版二作の監督を努めた、押井守監督作の実写による劇場版『機動警察パトレイバー』が公開されるらしいが、正直、いちパトレイバーファンとして、私はこの作品を観る前から認めない。
『機動警察パトレイバー』という作品は、先ほど挙げた旧OVAや劇場版二作品に加えて、ゆうきまさみ氏による”漫画版”と日テレ系で放送された”TV版”とその続編に当たる”新OVA版”と”漫画版”のエピソードを元に制作された、劇場版三作目『WX�掘ゝ‘扱抻．僖肇譽ぅ弌次戮�存在する。（厳密には、他に劇場版の小説があるがここでは省略します）
私は高校生時代に、当時少年サンデーで連載されていた”漫画版”から「パトレイバー」の世界に入り、社会人になってから先輩の勧めで、初めて押井守監督作の劇場版を観て衝撃を覚え、劇場版の『２』は劇場に何度も足を運んで観に行き、新OVAのビデオや後に買ったLDも全巻買ったり、当時発売されていたプラモデルは勿論、イベント限定のガレージキットも買い漁るほどハマっていた。
それだけに、今回の実写化による劇場版制作とその伝わる限りの経緯には素直に喜べないのだ。
元々、『機動警察パトレイバー』という作品は”ヘッドギア”という、原案と漫画担当の、ゆうきまさみ氏とメカニックデザイン担当の出渕裕氏とキャラクターデザイン担当の高田明美さんに脚本担当の伊藤和典氏と監督の押井守氏が加わった制作集団によって作られた作品である。
ところが、昨年９月３０日の、ゆうきまさみ氏のTwitterで、「そんな話は僕には来てない」とする旨のつぶやきが出るとネット上で様々な憶測が飛んだ。
Googleのイメージ検索で拾った画像なので、一枚目の画像に引用者による赤い書き込みがあり、「この発言は去年の９月だし、実写映画化の発表は今年なので何の意味もない」としているが、企画自体は去年からスタートしてる可能性もあるので、この指摘は的外れである。
二枚目の画像で、ゆうき氏は露骨に実写化の話に不快感を滲ませているが、実際に公式サイトの制作スタッフを見ると、共通の生みの親であるヘッドギアのメンバーがごっそり切り捨てられてるにもかかわらず、ちゃっかり原案にはヘッドギアの名前だけが使われている。
Twitter上で不快感を示した、ゆうき氏は勿論だが、他のヘッドギアメンバーは果たして押井氏に対してどんな感情を抱くだろうか。
決して良い思いはしないと思うのは私だけではないと思われるが如何だろう。
更に、ネット上でパトレイバーファンからの疑問と反感を買ってるが、そのキャラクターである。
時代設定が、２１世紀となり、主役の特車二課第二小隊の面々も三代目になってるが、そのキャラクターが実に難解というか安直というか、例えば主人公の名前が初代の”泉野明”（いずみのあ）と同じ字で”泉野 明”（いずみのあきら）だったり、他のキャラクターも苗字が同じだけど、別に初代第二小隊と血縁でもなんでもないという不可解さ。
でも、整備班長になった千葉繁さんが演じるシゲさんだけはそのまんま。
果たしてこの新キャラクターの設定や意味やネーミングは何なのか。
単に、これまでのファンに擦り寄っただけなのか、それとも何かの部分的なパラレルなのか、それとも初代メンバーの輪廻転生なのか全く不可解だ。
正直何を狙ってるのか理解に苦しむ。
別に筧利夫さんには罪はないが。
TV版パトレイバー（８０年後半から９０年放送）では、番組の最後に必ず「この番組はフィクションである。だが、１０年後においては定かではない……」といったテロップが入ってたが、まさかその１０年後にこんなファンに対する”しっぺ返し”を喰らうとは夢にも思わなかった。
こんな作品が作られた日には、名前だけ都合よく利用されるヘッドギアメンバーは当然ながら、他界されたアニメ版のキャラクターを演じた香貫花クランシー役の井上遥さんや山崎ひろみ役の郷里大輔さんが浮かばれない。
結論から言えば、この企画自体が近年邦画界で粗製乱造されてる、”漫画やアニメ原作の安直な実写映画化”の一つでしかなく、その監督として、劇場版をヒットさせた押井氏をネームバリューと話題性込で抜擢し、（というか、元々押井氏本人が実写化に乗り気とも聞くが） 押井氏と親交の深い川井憲次さんが音楽を担当し、同じく古くからの付き合いの千葉繁氏が参加したに過ぎない、”押井さんだけのパトレイバー”でしかない。
自他共犬好きで知られ、自身の作品にも必ず犬が登場し、自画像も犬にする押井氏だが、流石に犬だけあって、今回の実写映画化は正にヘッドギアメンバーや、これまでのパトレイバーファンに文字通り”後ろ足で砂をかける”行為だと思うのも私だけではないはずだ。
（あ、後ろ足で砂をかけるのはネコか。まあいいやｗ）
最後に、私は押井氏が監督と努めた”劇場版”二作品については、この件があっても好きだし、素晴らしい作品だと思うし、これまでも見続けるだろう。
だが、一人のパトレイバーファンとして、私は決してこの実写劇場版だけは認めたくはない。
それだけは断言できるだろう。
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