■完成度が高いオリジナル曲
そもそも、28年前のヒット歌謡曲『潮騒のメモリー』がこの物語のアイコンなのだから、『あまちゃん』は音楽劇に他ならない。そして音楽との共生が、『あまちゃん』を〈世代を越えたおとぎ話〉にまで昇華させたと言っていい。
まず音楽業界が舞台の映像作品で最も悩ましいのが、オリジナル劇中歌である。その出来いかんで、物語の説得力が一瞬にして壊滅してしまう。しかし『あまちゃん』の3曲は、どれも秀逸だ。
『潮騒のメモリー』は、〈イントロ→変形サビ→Aメロ→Bメロ→サビ〉という当時のアイドル歌謡曲必殺の構成といい、「低気圧」「タクシー」「アルペジオ」「マーメイド」など当時は聞きなれない普通名詞満載の歌詞といい、実に豪華な80年代仕様である。
一方、最新アイドルグループ・アメ女の代表曲『暦の上ではディセンバー』は、深みを排除したインパクト最優先のサウンドメイクが、鋭すぎておかしい。現代の量産型アイドル歌謡のプロトタイプ、と称賛したい名曲だ。
そしてGMT5の『地元に帰ろう』は、「こんな素人同然のアイドルと地味な楽曲だろうと、売り方次第でなんとかなる」的な、現代アイドル商法のサンプルとしか思えない実験感がたまらない。もしくは、新時代の〈虚脱エンタテインメント・ソング〉か?
注目したいのは、どの楽曲も単に完成度が高いだけでなく、物語の様々な背景や伏線を踏まえて成立している点だったりする。劇中歌でさえそうなのだから、ドラマの随所で登場人物が歌い、懐かしい楽曲や気の利いた劇伴が流れるのにもまた、必然性があるのだ。
あまちゃん、能年玲奈、小泉今日子、橋本愛、有村架純、宮藤官九郎、松田龍平
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