■PART2:音楽劇としての『あまちゃん』の魅力
能年玲奈や小泉今日子が歌ったり、アイドルグループが登場するだけではなく、登場人物の鼻歌や一瞬のBGMに至るまで、『あまちゃん』は全編音楽の魅力にあふれている。
北三陸を捨て上京する気満々のユイ(橋本愛)を翻意させようと、サブリミナル効果狙いなのか、彼女の背後で反東京ソング・メドレーを鼻歌する副駅長の吉田(荒川良々)。『東京砂漠』→『大都会』→『東京は夜の七時』と順調だったが、なぜか『NO. NEW YORK』でNYに飛び、『東京』→『俺ら東京さ行ぐだ』と、気がつけば上京を応援しているグダグダの展開に――。
歌う歌う歌う。とにかく熱唱シーンに事欠かぬ、まさに音楽劇『あまちゃん』。潮騒のメモリーズ@お座敷列車にせよ、「ゴーストバスターズ」と叫ぶ大吉にせよ、カラオケ春子にせよ、「歌うなどの音楽シーンの撮影は大変でした」(訓覇圭チーフ・プロデューサー)との制作陣の苦労は報われている。レディー・ガガをクイーンの「レディオ・ガガ」と間違えた、海女クラブ・花巻(伊勢志摩)のフレディ・マーキュリーのコスプレ姿は、一体、何人の視聴者が理解できたのだろうか
このシークエンス、日本一幅広い年齢層を誇るNHKの朝ドラだけに、全曲知っている視聴者はほとんどいなかっただろう。それでも良々の自爆的な虚無感に、老若男女の誰もが失笑したはずだ。それが音楽の力、である。
とにかく『あまちゃん』は、音楽に満ちあふれている。別掲のBGMリストにあるように、登場人物たちは日常的に歌いまくる。時代背景を解説する際には、象徴的な流行歌が必ず流れる。また大友良英による劇伴は、ドレミファソラシドで始まる画期的なオープニングテーマのみならず、枝葉末節にまでこだわった無尽蔵のバリエーションを誇る。
あまちゃん、能年玲奈、小泉今日子、橋本愛、有村架純、宮藤官九郎、松田龍平
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