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大川小遺族が文科省に意見書 「検証委、核心触れてない」
 | 義家政務官(右から2人目)に事故検証委員会の検証作業に改善を指導するよう訴える大川小の児童遺族 |
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東日本大震災で児童・教職員計84人が死亡、行方不明になった宮城県石巻市大川小の児童の遺族有志が30日、第三者の事故検証委員会について「なぜ子どもたちが命を落とさなければならなかったのか、という核心に触れていない」として、改善を求める意見書を文部科学省に提出した。
遺族6人が東京・霞が関の文科省を訪問した。元高校教諭の義家弘介文科政務官が応対し、意見交換した。
遺族側は「一番知りたいのは、教職員が一緒にいて地震発生から津波到来まで51分間ありながら、なぜ子どもたちが校庭から1分で登れる山に避難させてもらえなかったかということ」と強調。検証作業を始めて8カ月近くたつのに核心部分の議論に入らず、遺族の意見が反映されない点なども指摘した。
5年生だった次女を亡くした紫桃隆洋さん(49)は「12月の最終報告まで時間がないのに核心に触れられず、いら立ちを覚える。遺族の思いに応えてくれる検証ではないのか」と批判。6年生の次女を失った佐藤敏郎さん(50)は「検証委の議論には臆測や曖昧な点があり、『子どもたちの犠牲は仕方がなかった』という理由を探しているように感じる。大川小の悲劇がタブー視されつつあり、つらい」と訴えた。
義家政務官は「関係者から聞き取り調査中と聞いているが、『仕方がなかった』という検証はあり得ない。失われた命に向き合い、このような事態が二度と起きないようにすることが文科省の責務」と述べ、必要に応じて検証委に助言することを約束した。
◎遺族憤り「信頼できぬ」
「学校管理下で多くの子どもたちが亡くなった原因を検証してほしいのに、その方向に進んでいない。このままでは事実と違う検証結果が残され、教訓にもならない」
わが子の死と向き合い続ける石巻市大川小の児童の遺族は文部科学省に意見書を提出した後、記者会見で検証委員会への不信感を訴えた。
検証委は、遺族が市教委の対応に不満を募らせる中、文科省主導で設置された。これまで4回の会合を開き、7月に中間とりまとめを公表、12月に最終報告を出す予定。
6年生だった長男を亡くした今野浩行さん(51)は「遺族や市教委と一緒に検証してくれると思ったが、公正中立を理由に遺族の意見を反映してくれない」と語った。
3年生の長女を失い、5年生だった長男が助かった只野英昭さん(42)は「子どもたちの聞き取りで、心のケアに細心の配慮をしたやり方を何度も提案したが、全く聞き入れてもらえない」と嘆いた。
9月28日に設定されていた5回目の会合は突然、延期となった。6年生の三男が命を落とした佐藤和隆さん(46)は「何の説明もなく延期された。委員が事実と違う発言をしたり、核心から外れた部分の検証に時間をかけたりして、信頼できない」と憤った。
3年生だった一人息子が犠牲になった佐藤美広さん(52)は「自分はもう教育に関わることはない。同じ悲しみを味わう人が出ないよう、必死の思いでお願いに来たことを分かってほしい」と述べた。
2013年10月01日火曜日
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