茂木敏充経済産業相は30日、福島第1原発の汚染水問題をめぐる衆院経済産業委員会の閉会中審査で、福島第2原発について「今の福島県民の心情を考えると他の原発と同列に扱うことはできない」と述べ、福島県が求める廃炉に理解を示した。日本維新の会の小熊慎司議員(比例東北)の質問に答えた。
実際に廃炉するかどうかに関しては「今後のエネルギー政策全体の検討や原子力規制委員会の新規制基準への対応、地元のさまざまな意見を総合的に勘案して東電が判断すべきだ」と答弁した。
茂木経産相は汚染水問題の対策がうまく進まない場合の責任に関し「誰が責任を取るかよりも今ある課題をどう解決するかだ」と述べ、明言を避けた。みんなの党の井坂信彦氏の質問に答えた。
安倍晋三首相は現地視察で「私が責任者として対応したい」と強調したが、政府の姿勢を後退させた格好だ。
福島県議会は11年10月、第2原発を含む県内の全原発の廃炉を求める請願を採択。佐藤雄平知事は「全基廃炉は県民の総意」と強く訴えている。
東電の広瀬直己社長は同日、福島県議会の全員協議会に出席し、第2原発の廃炉を問われ、「県議会の廃炉決議は十分認識しているが、原発は国策、エネルギー政策の中で進められてきた。そうしたことを踏まえて今後判断させていただきたい」と述べた。
2011年3月の福島第1原発事故後、同原発の1〜4号機は廃炉が決定。5、6号機について安倍晋三首相は9月19日、広瀬社長に廃炉を要請した。東電は両機を、1〜4号機の廃炉実験などを行う研究開発施設に転用することを検討している。
福島第2原発を廃炉にする場合、東電は約2200億円の処理費用が必要となり、経営が一段と圧迫される。
第2原発をめぐっては民主党政権当時の11年9月、枝野幸男経産相が「地元の理解が得られるとは思わない」と述べ、廃炉が不可避との認識を示している。