新興国、居住者の海外投資で資本逃避の影響相殺できる-IMF
9月30日(ブルームバーグ):新興国は国内居住者に対し、好況時に海外投資を促進し、必要に応じて本国への送金を勧める措置を講じれば資本フローの変動にうまく耐えることができる。国際通貨基金(IMF)は30日公表した世界経済見通しの一部の章でこう指摘した。
IMFは資本流入の急増を国内居住者による外国資産購入で相殺した国の方が、世界的な金融危機時の外国資本の引き揚げを比較的うまく乗り越えたと指摘。これは資本規制や為替介入以外にも政策当局の選択肢があることを示すものだと付け加えた。
IMFは2008年の混乱時に「不安定な国際資本フローで典型的な好不況の循環を経験した国も一部あったが、多くの国はそうではなかった」とし、「国際資本フローが干上がる中で、それに代わる形で国内居住者が自らの海外資産を引き出した」と説明した。
30日の報告書はチリやマレーシア、チェコの事例に焦点を当てたもので、これらの国が「金融調整の安定化」を可能にする新たな政策を採用するために過去の危機からどのように教訓を学んだかについて解説した。チリでは個人年金基金が世界的な混乱時に資金を本国に戻し、海外マネーの流入減の影響相殺を図り、マレーシアでは十分な資本を有する機関投資家による購入のおかげで債券市場の安定が維持されたという。
同報告書はまた、耐久力のある国に共通の特徴として信頼できる財政・金融政策と過剰なリスクテークを抑制する金融規制を挙げたほか、オープンな資本勘定や柔軟性のある為替相場制度も重要な役割を果たしていると分析した。
原題:IMF Says Domestic Investors Can Curb Capital FlowVolatility(抜粋)
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更新日時: 2013/09/30 22:52 JST