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中3で全国制覇の松井裕樹 スカウトに「なんでオレだけ。ホント、嫌だ」

【野球】

楽天SocialNewsに投稿!
2013年9月12日 掲載
スカウトが絶えることなく…/(C)日刊ゲンダイ
 松井を知る者は口を揃えて、「無邪気」「とにかくよくしゃべる」と話す。

 桐光学園の同級生で、中学生の時に在籍していた緑東シニアからのチームメートの鈴木航介が「悪くいえばちゃらんぽらん」と言えば、年上からは「甘えん坊」と評される。
 やはり緑東シニアで共にプレーし、埼玉・花咲徳栄のエースとして活躍した関口明大(3年)はこう話す。

「声が大きくて、ワイワイやるのが大好きでしたけど、みんなの中心にいるというタイプじゃない。輪の外側で、みんなを盛り上げることが多かった」

 関口は「当時、こんなことがあった」と続ける。

「松井は当時からアマチュア球界では名前が知られていましたから、緑東シニアのグラウンドにもいろいろな人が来ていました。登板日はもちろん、松井が投げない日や、練習だけの日もよく大人たちが来ていました」

 有望な選手を獲得したい強豪高校の関係者はもちろん、将来の逸材をチェックするプロのスカウトも姿を見せていた。

 ところが、松井はそうした大人たちを見てもニコリともしなかった。ネット裏で明らかにそれとわかる関係者たちが、松井を指さし、ヒソヒソとやっている。そんな光景から、松井は目を背けた。

 腕一本で高校野球どころか、プロからも注目を浴びる。多感な中学生ならば、テングになってもおかしくない。事実、松井にはそれだけの力と才能があった。

<中学3年生で全国制覇>

 しかし、チームメートが「おい松井、今日もスカウトが来てるぞ」と感嘆しても、「あ、そう」とそっけなかった。

 そんな態度を不審に思っていた関口らに、松井は「ホント、嫌なんだよ」と話した。
「なんでオレだけなんだよ。他の選手も見て欲しいのに……。オレだけじゃなくて、周りも見てやってくれよ」

 もちろん、言葉通りの思いはあっただろう。

 緑東シニアは松井が中学3年生だった10年夏、日本選手権で全国制覇している。当時は坂本秀仁(山梨学院・3年)と松井が左腕の二枚看板。関口や、後に桐光学園のチームメートとなる鈴木もスタメンに名を連ね、打線の援護にも恵まれていた。決して松井のワンマンチームではなかった。

 しかし、松井が本当に嫌だったのは、自分がチーム内で浮いてしまうことだった。

 野球では他を寄せ付けぬ力を発揮しても、その実は無邪気な甘えん坊。先輩に対するタメ口も、松井にとっては「ワイワイやる」ためのひとつの手段だった。突出するより、みんなの輪の中にいることの方が大事だった。

 桐光学園に進学したこともそれと無関係ではない。
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