ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
今週の週刊ダイヤモンド ここが見どころ
【13/10/05号】 2013年9月30日
著者・コラム紹介バックナンバー
週刊ダイヤモンド編集部

スマホの“限界”が見えてきた
ウェアラブル時代の幕開け

previous page
2
nextpage

 だが、過去の同社の製品発表に比べて“驚き”は少なかった。技術進化の方向は想定内にとどまり、使用シーンとして画期的な広がりが期待できるものではなかった。スマホという製品は成熟期に入ったとみてよいだろう。

 特に、アップルの今回の発表に対して市場に失望感が広がった背景には、うわさされていた「iウォッチ」が登場しなかったということもある。アップルもスマホの次を見据え、腕時計型のウェアラブル機器であるiウォッチの開発を進めており、発売時期をうかがっているというのは公然の秘密。すでに商標登録も済ませ、さまざまな特許も取得している。

 一方で、スマホ市場ではアップルの最大のライバルとなっている韓国サムスン電子は、一足先にスマホやタブレットと連携して使う腕時計型の「ギャラクシー・ギア」を発表した。

 グーグルがメガネ型のウェアラブル機器をポストスマホの嚆矢と位置づけているのに対し、アップルとサムスンは腕時計型に当面の狙いを定める。

アップルの“参戦”は時間の問題
快適性とデザイン性の実現には課題

 アップルの“参戦”は時間の問題だ。アップル製品の生産拠点となっている台湾では、すでに複数の台湾企業がiウォッチの生産を受託し、2014年下半期に149~229ドルで発売されるとの観測報道が飛び交っている。

 ただ、現状ではまだ、薄型軽量化とデザインの美しさの両立において、アップルを満足させる技術が確立されていないともいわれる。というのも、脈拍のデータを取れれば健康管理の点で魅力的なアプリを提示できるが、脈拍を取るためには肌に密着したデザインにしなければならない。

 また、寝ている間もデータを取れればなおよい。ところが、多くの人にとって、腕時計はリラックスしたいときにははずすもの。24時間着けていられるだけの快適性とデザイン性を実現するのは並大抵ではない。アップルが悩んでいるのも、まさにそこだろう。

 神戸大学大学院工学研究科の塚本昌彦教授は、01年から12年間、ウェアラブル機器を身に着けて生活をしている。

previous page
2
nextpage
Special topics
ダイヤモンド・オンライン 関連記事


DOLSpecial

今週の週刊ダイヤモンド

2013年10月5日号

週刊ダイヤモンド最新号

定価690円(税込)

週刊ダイヤモンドのサイトへ
特集

スマホの次はこれが来る!
グーグル、アップル、サムスンが狙う未来端末

      
  • Prologue スマホの"限界"が見えてきた
  •   
  • Part 1 「持つ」から「身に着ける」へ
  • グーグルグラスが引き起こす新しい体験と思わぬ社会変革
  • 実際に使ってみてわかったグーグルグラスの課題と懸念●石川 温
  • Column "メガネ"を着用し続け20年! 開発者は「サイボーグ教授」
  • 腕時計の形状は進化の序章! サムスンが打ち出す新世代機器
  • Interview プラナフ・ミストリー●サムスン電子シンクタンクチーム責任者
  •   
  • Part 2 「ウェアラブル時代」を見通す
  • 東京五輪が一つの試金石に! 脱スマホで始まる"着用進化論"
  • 映画・アニメは電脳機器をどう描いたか
  • Interview 磯 光雄●アニメ「電脳コイル」監督
  • Column マイクロソフトが鋭意開発中 カラダを使った未来の操作
  • 早くもブーム到来! カラダに効く ヘルスケア&フィットネス系ウェアラブル機器
  •   
  • Part 3 日本メーカーの逆襲はあるか?
  • 日本版グラス「テレパシー」 米国を拠点にグーグルに挑む●長野美穂
  • スマホの二の舞いにはならない 勝ち残る"日の丸企業"はどこだ
  • センサー、無線通信、電池… 普及の鍵は部品の進化が握る
  • 時計の針が早過ぎた? 辞書に、カメラに、電話機に 国産腕時計の進化の歴史
underline

週刊ダイヤモンド1冊購読

話題の記事

週刊ダイヤモンド編集部


今週の週刊ダイヤモンド ここが見どころ

最新号の読みどころを特集担当者の視点でお伝えします。時には紙幅の関係から記事にできなかった取材の内側など、「ここだけの話」も満載です。

「今週の週刊ダイヤモンド ここが見どころ」

⇒バックナンバー一覧