いじめ防止対策推進法:28日施行も基本方針間に合わず

毎日新聞 2013年09月28日 10時46分(最終更新 09月28日 16時42分)

いじめの調査をする「第三者委員会」のメンバー構成のあり方などについて激論が交わされた「いじめ防止基本方針策定協議会」の第5回会合=東京都千代田区の文部科学省で2013年9月26日午後1時6分、水戸健一撮影
いじめの調査をする「第三者委員会」のメンバー構成のあり方などについて激論が交わされた「いじめ防止基本方針策定協議会」の第5回会合=東京都千代田区の文部科学省で2013年9月26日午後1時6分、水戸健一撮影

 いじめから子供を守るため、学校や行政の責務を定めた「いじめ防止対策推進法」が28日、施行された。同法は、大津市の中2男子いじめ自殺問題をきっかけに与野党の議員立法で成立したが、運用に必要な国の基本方針作りが間に合わないという想定外のスタートとなった。学校と行政の役割分担などで混乱する懸念があり、遺族からは文部科学省の見通しの甘さを指摘する声も上がっている。【水戸健一、小林哲夫、石川勝義】

 「いじめを調査する『第三者』とは、どんな人を指すのか」「あまり対象を狭められると調査メンバーの選任が難しくなる」。法の施行が迫った26日、文科省で開かれた「いじめ防止基本方針策定協議会」では、休憩を挟んで4時間半、激論が交わされた。

 有識者や弁護士、小中学校長ら計14人で、同法が定める国の基本方針を策定する。子供の生命と人権に関わることに加え、衆参両院の委員会の付帯決議が法の不備を補う複雑な事情があり、基本方針なしに法の的確な運用は難しい。

 6月の法成立後、8月中旬に協議会の初会合が開かれた。施行日までに5回の会合を開き、まとめる予定だった。だが、自治体、学校、教員の役割について国がどこまで踏み込むのか、いじめの調査メンバーをどうするのか、など意見がまとまらないまま会を重ね、不満を訴える委員も。26日の第5回会合でも集約できず、基本方針がないまま施行日に突入することになった。座長の森田洋司・大阪市立大名誉教授は「徹底的に議論する必要がある。できる限りよいものにしたい」と理解を求めた。基本方針に策定期限はないが、施行日に間に合わないのは想定外。協議会は10月上旬の策定を目指す。

 昨年10月に「子どものいじめの防止に関する条例」を施行した岐阜県可児市の片桐厚司市民部長は「条例がない自治体では、国の基本方針が定まらない中で(行政や学校、保護者など)それぞれの役割について対応を進めるのは難しいかもしれない」と話す。条例はいじめの防止と早期発見のため、市と学校、保護者、市民らそれぞれの立場で責任を明確化。市内の事業所がステッカーを作ったり、自治会が、高齢者らに登下校時に合わせ散歩するよう呼び掛けて見守り活動をしたりするなどの動きが出てきた。片桐部長は「教育委員会と学校、家庭、地域が一体になる体制ができてきた」と条例効果に実感を込める。

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