18番でバーディーパットをわずかに外しがっくりする宮里藍=宮城・利府GCで(武藤健一撮影)
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◇ミヤギTV杯ダンロップ女子OP<最終日>
▽29日、宮城県・利府GC(6498ヤード、パー72)▽晴れ、気温23・3度、風速4・1メートル▽賞金総額7000万円、優勝1260万円▽54選手(うちアマ1人)▽観衆1万43人
首位と3打差6位から出た宮里藍(28)=サントリー=が、14番までに7バーディーを奪う猛攻で独走態勢を築きながら、終盤まさかの大失速。68にとどまり通算4アンダー、1打差の2位に終わった。2日目に首位タイに浮上したイ・ナリ(25)=韓国=が3バーディー、1ボギーの安定したゴルフで5アンダーまで伸ばし、日本ツアー6年目にして初優勝を飾った。
思わぬところに落とし穴が潜んでいた。スタートからの14ホールで、藍は他の選手とは別次元のゴルフを展開。2、4番をバーディーに仕留めると、8番からの3連続バーディーで一気に単独首位に。13番ではグリーン奥からチップイン、さらに14番パー5で3メートルを沈めて、7アンダー。「いいペースでした」。優勝はもちろん、コースレコード64の更新にまで期待がかかった。
だが、15番パー3で暗転。グリーン右のカラーから8メートルのバーディートライが、カップに届かない。2メートルのパーパットはカップをすり抜け、返しの1・5メートルも…。まさかのダブルボギーが、大失速の始まりだった。
流れを変えたのはスコアボードだった。プレー後、藍はこう話した。
「きょうはスコアボードを見ないで集中していこうと決めていた。だけどあそこ(15番)で、ピンの向こうの正面に大きなボードが…。いや応なく見えてしまって。集中が緩んでしまった」
トップに立っている自覚は何となくあったが、この時点で4打差のボードを目の当たりにして、14番までのゴルフへの満足感や守る気持ちが生じてしまったという。その後は必死に立て直しを図るも、ズレた歯車は元には戻らなかった。17番でも3パットボギー。優勝は逃げていった。
「もったいなかったですね〜」と、タメ息をついた藍。それでも「こういうのは初めて。この精神的な経験をできたことが3日間の一番の収穫です。いけそうでいけない今季を象徴するようなゴルフだったけど、半分以上は満足してます」。次週は国内メジャーの日本女子オープン(10月3〜6日、神奈川・相模原GC東コース)。この体験をプラスに生かすチャンスはいくらでもある。(月橋文美)
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