千代鳳(手前)を攻める大砂嵐。敗れたが、10勝を挙げて来場所の新入幕が有力だ=両国国技館で(沢田将人撮影)
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◇秋場所<千秋楽>
東十両4枚目でエジプト出身の大砂嵐(21)=大嶽=は敗れたが10勝5敗、来場所の新入幕が有力となった。関脇豪栄道(27)=境川=は魁聖を寄り切って11勝目を挙げ、来場所で大関とりの足固めを狙う。4場所連続27度目の優勝を決めていた白鵬は、日馬富士を小手投げで下して14勝1敗とした。日馬富士は10勝止まり。稀勢の里は鶴竜に勝って11勝。鶴竜は6敗。琴奨菊は妙義龍を下して10勝とした。
大砂嵐が出世船で場所入りする。千秋楽は千代鳳に寄り倒され10勝に終わったが、九州場所で史上2位となる初土俵から所要10場所のスピード新入幕が有力となった。
その門出を祝うのは出世船だ。九州場所は金印が発見された福岡市の志賀島に宿舎を置くが、師匠の大嶽親方(元十両大竜)は「車で通うのはぜいたくかな。今年も初日くらいは船で行ってもらおうか」。志賀島は今年で3年目。関取で迎える今年は車での送迎が予定されているが、師匠の粋な計らいで幕内の船出を飾る。
実は船の方が場所にも近い。車で行くと40分以上かかるところが、162人乗りの福岡市営渡船の「きんいん1」「きんいん2」で志賀島−博多間は約33分。師匠が「福岡国際センターのすぐ裏に着く」と話すように利便性もいい。
大砂嵐も九州場所を楽しみにしている。11日目の照ノ富士戦で腰と背中を痛めたこともあり「今場所は長かった。やっと終わりました」とホッとした表情を浮かべ、九州場所に向けて「もっと思い切りいく。もっといい相撲を取る」と気合を入れる。漁業組合の建物が宿舎で、「魚、シーフードも楽しみ」という。
ラマダン(断食月)が4日目から始まった新十両の名古屋場所を乗り切り、今場所は場所前に腹痛から大腸の内視鏡検査を受け、場所中にけがもした。「毎日治療。電気治療やマッサージ」と相撲のことだけを考える日々で乗り切った。
新入幕について「考えてません」と言い続けていた大砂嵐も、終盤になると「ほんとはドキドキ」と気持ちもだんだん高まってきている。さあ、次は九州にトルネードを巻き起こす。 (岸本隆)
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