病気腎移植:誤診で腎臓摘出、和解へ 市が1700万円賠償−−岡山の市立病院
毎日新聞 2013年09月20日 大阪夕刊
岡山県の70代女性が、同県備前市立吉永病院で、がんと誤診されて腎臓を摘出されたとして損害賠償を求めていた訴訟で、市側が女性に賠償金を支払い和解が成立する見通しであることが20日、市などへの取材で分かった。女性は病気で摘出した腎臓を別の患者に移植する病気腎(修復腎)移植の提供者だった。市は和解金1700万円を盛り込んだ病院事業会計補正予算案を市議会に提出し、19日に可決されている。
岡山地裁の和解期日は10月10日の予定。訴状によると、女性は2006年7月、病気腎移植を推進する万波誠医師(宇和島徳洲会病院)の弟廉介医師に「九分九厘、がん。良性でもがんに移行するおそれがある」と診断され、左腎臓の摘出手術を受けた。しかし検査の結果、がんではなく腎臓の一部が石灰化する別の病気と判明。「検査結果を十分に検討せずに誤診した廉介医師の注意義務違反は明らかだ」などとして、10年2月に提訴した。
女性側弁護士は「和解の金額は満足とは言えないが、病院側が注意義務違反を認めた結果と受け止めている」としている。【原田悠自、石井尚】