福島帰宅困難者:家屋賠償上乗せ 木造48年超で2.5倍

毎日新聞 2013年09月30日 14時36分(最終更新 09月30日 14時45分)

家屋賠償のイメージ(木造の場合)
家屋賠償のイメージ(木造の場合)

 文部科学省の原子力損害賠償紛争審査会は、東京電力福島第1原発事故による帰宅困難者らの家屋の賠償額を上乗せする方針を固めた。築年数に応じ増額され、補償の最低基準は従来の最大2.5倍程度になる。避難先での住宅取得を支援するのが狙い。10月1日の審査会で審議し、損害賠償指針に盛り込む。

 不動産の賠償は2012年3月の審査会指針に沿い経済産業省が同7月に基準を決定。東電が事故前の固定資産税評価額などにより賠償額を算定し、支払いを始めている。

 家屋の賠償額は、減価償却の考え方に基づき、築年数が長いほど低く算定される。現行の算定方法は、家屋補償の最低基準を新築時の2割と規定。木造家屋では、築48年超の場合に最低基準が当てはめられる。

 しかし、避難者の多くは都市部に避難しており、不動産価格の格差から避難先での住宅取得が難しく、生活再建に支障があると不満の声が出ていた。

 このため、審査会は不動産価値の損害について「移住せざるを得ないことによる損害」の概念を新たに導入。ダムや道路工事に伴う住宅移転の補償制度を参考に、最低基準を新築時の最大5割程度に引き上げることにした。例えば、2000万円で建てた築48年超の木造家屋の場合、補償額は従来の400万円から1000万円に増額される。木造以外でも同等の上乗せとなる。帰還困難区域に加え、居住制限区域や避難指示解除準備区域でも、避難年数に応じて減額した上で、リフォームなどの費用を考慮して補償する。対象は3万戸前後の見込み。

 原発事故の賠償問題に詳しい大阪市立大の除本理史(よけもとまさふみ)教授は「避難者の被害実態を踏まえて審査会が指針を見直すことは高く評価できる」と話している。【奥山智己】

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