29日に投開票された堺市長選を制したのは、「堺はひとつ」と訴えた現職の竹山修身氏(63)だった。自民、民主、共産、社民の各政党のほか、市民団体などの支援を得て、大阪維新の会の新顔候補を破った。今後は、「大阪都構想」を進める維新や府、大阪市との向き合い方が課題となる。
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当選が確実となり、竹山氏が市役所近くの選挙事務所に姿を見せると、支援者らから大きな拍手がわいた。竹山氏は、「広範な政党の皆さん、団体の皆さん、市民のみなさんがこの戦いを支えてくれた」と声を弾ませ、大阪都構想については「すでに破綻(はたん)しかかっている」と批判。「子育て、歴史文化、ものづくり、安全安心のまちづくりをすることが私の責務。堺を住んでよかったまちにしっかりと発展させたい」と抱負を語った。
竹山氏は4年前の市長選で、当時大阪府知事だった橋下徹氏の支援を受けて現職を破った。だが、昨年2月、橋下氏が掲げる大阪都構想の制度設計を話し合う協議会への不参加を表明。今回の市長選でも、堺市の廃止・分割を含む都構想に対し、「堺市民にとって百害あって一利無し」と反対姿勢を打ち出し、「指定市が持つ権限や、市税1300億円のうちの460億円を都に返上することになり、堺のことが堺で決められなくなる」とデメリットを繰り返し説いた。
また、行財政改革や子どもの医療費助成や無料の放課後学習など、1期4年の実績も強調。堺ゆかりの茶人・千利休や歌人・与謝野晶子を顕彰する「文化観光拠点施設」の整備や、65歳以上が利用できる「お出かけ応援バス」の全日拡充などを訴えた。
今回、竹山氏には民主党が推薦し、自民党が支持。共産、社民両党も独自に支援。幅広い政党、団体、市民の支持を集め、再選を果たした。
■西林氏、人海戦術及ばず
西林氏は出馬表明が遅れた上、堺市の廃止・分割を含む大阪都構想への市民の不安を拭うことが出来なかった。
西林氏が立候補を表明したのは8月中旬。大阪維新の会の橋下代表と街頭に立ったが、有権者への浸透はなかなか進まなかった。
都構想問題では、「都構想が実現しても堺はなくなりません。なくなるのは堺市長と堺市議だけ」と訴えた。選挙期間中は維新の堺市議、堺選出の府議を中心に国会議員ら最大約100人体制で選挙区を回る人海戦術に出たが及ばなかった。
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