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2005年4月19日 (火曜日)

英語で「以下の図」はthe below chartと言わない

日本の企業が社員の英語力をTOEICで測ろうとするのはいいけれど、統計的処理をしてみると、スコアが前回受験時と比べてどの程度伸びたかといったことを論じるのは意味がないし、英語力の弱点等がわかる英語力診断テストでもないのだから、スコアに基づいてここを勉強しろと指導するのはどうだろうかと疑問をなげかけるおもしろい報告を見つけました。その報告自体は、(社名からして語学サービスの会社とおぼしき)ある会社のウェブサイトで引用されていたものです。そこで転載の許諾者としてお名前が出ていた著者本人にメールで連絡を取りました。自分のブログで引用させていただきたいと願い出るためです。ところが、許可をもらったところで、くだんのウェブページを読み返して仰天。ひどい間違いがあるじゃないですか。以下で見るとおり、一度ならず二度やっていますから、書いているご本人自身、間違っていることに気づかないのでしょう。

間違っている部分を強調するために、そこを大文字にして示すと、こうです。(ちなみに二つ目の例の冒頭にあるresearch paperをキャピタライズしているのも、普通ではありませんから、まねをしない方がいいでしょう。)

You can use the BELOW charts to find out how many hours of study it will take to reach a target TOEIC level from your current level.(以下の図をご覧になれば、あなたの現在のTOEICのスコアから、目指しているレベルに達するのに要する勉強時間がわかります)

In a Research Paper titled “Good and Bad Uses of TOEIC by Japanese Companies,” Dr. Marshall Childs reaches the BELOW five conclusions about the TOEIC test. (「日本企業によるTOEICの利用法:いい例、悪い例」という研究報告において、マーシャル・チャイルズ博士は、TOEICについて、以下の五つの結論を引き出しています)

実は、この例はそこそこ英語が書ける人がよくやっている失敗例なのですが(きっと、これを読んであせっている人も多いと思います)、このように「以下の」という意味でbelowを使うときは、名詞または名詞句のうしろに回さなければならず、前には付けられないのです。この点、Longman Dictionary of Common Errorsは、The below report describes my recent stay in...といった例を挙げ、When below refers to the position of something on a page, it comes after the noun.(belowがあるページ上の何かを指し示している場合は、名詞のうしろに来る)と説明しています。

ちゃんとした人の目には教育のないやつと映る、そういったレベルの低い間違いですから、自分でやっておいて、あとから気づいたりしたら、血の気が引く思いのすることでしょう。そのぐらい恥ずかしい間違いです。(でも引用符でくくってthe below chartをフレーズとしてネットで検索すると、7000件もヒットします。わからんものです。)

ちなみに、同じような言葉なのに、「上の」という意味のaboveは、名詞の前でもうしろでもよく、「上の図は何々を示している」と書きたい場合、the above chart indicatesでもいいし、the chart above indicatesと書くこともできます。どちらでもかまいません。ややこしいことです。でも、ややこしいことをマスターしているからこそ、人にそのスキルを身につけていると認めてもらえるわけで、避けて通る訳にもいきません。

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