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小沢一郎『このままでは福島の子どものがん発症は増える。』


生活の党の小沢一郎代表のインタビュー記事が9月25日発売の月刊『宝島』2013年11月号に掲載された。インタビューの中で小沢代表は福島原発事故問題について、
「放射能汚染によって国民の健康問題が懸念される』ほか汚染水問題で『太平洋諸国に迷惑をかけるなど、国際的な信用問題に発展しつつある」
との認識を示した。
懸念されている福島の子どもの健康問題について、
『あえて言いますと、このままでは福島の子どものがん発症は増える。』
と述べ、このまま対策をとらない場合、ガンが増えると明言した。

原発事故収束の糸口が見えない中で2020年オリンピックの東京開催が決定されました。
小沢「世界の人たちが東京を選んでくれたのは大変喜ばしいことです。開催に大きな経済効果あるという議論はいささか、疑問ですが。
ただし、原発事故は深刻な状況が続き、簡単に『はい安全です」とは宣言できません。
放射能汚染によって国民の健康問題が懸念され、次には太平洋諸国へ迷惑をかけるなど、今や国際的な信用問題に発展しつつあります」

小沢さんが大きく脱原発にシフトしたきっかけは原発事故ですね?
小沢「2011年3月12日と14日の爆発を見て衝撃を覚えました。すぐに原発マネーと無縁の専門家に科学的知見を伺うと、『炉の破損だけでなくしている』と聞かされました。それが3月20日頃のことです」

そこで事故対応についての献策を行われたのですね。
「はい。まず東電のコントロールから政府主導に転換するべきであると。すでに一企業が背負いきれるものではないし、やはり国策として原発を行った国として責任がある。
最終対応として浮かんだのは石棺です。
チェルノブイリ規模ではだめで、地下まで含めた巨大な半永久的建造物を作り放射能を封じ込める。そして同時にその中には全国の原発の高レベル廃棄物の貯蔵施設とすることができます。でも結果は、あくまで東電を前面に立て、政府はそれをバックアップする仕組みでした。したがって、住民対策も明確に打ち出せず、また、事実の隠ぺいを繰り返し、今日に至ってしまった。
当時、私は政権運営から排除されていましたから忸怩たる思いが残っています。」

事故の収束はいまだ遠いですね。
「非常に恐ろしい状況。地下水が汚染されているなんて当初からわかっていたことで、またそれが海に流れるのは自然の理。
それを意外なことだとする政府・東電も全くおかしい。また、あえて言いますと、このままでは福島の子どものがん発症は増える。
既に県の調査でも、今年8月で小児甲状腺ガンが18人、疑いは25人と発表されている。チェルノブイリを現時点では上回る数字です」

まだ、発症が二桁だとか思われ、楽観視されてるのか?
小沢「これは大変だと。なぜ国民が思わないのか不思議でなりません。自分だけが良ければいいのかな。でも、この事故を放置していたら景気もヘチマもないですよ。この間、米国の臨時代理大使が来た時に、「このままだと汚染は合衆国まで広がる」という話をしていたし、韓国では海産物輸入の規制を決定しようとしている。
次は中国やロシア、EU諸国がこれにならうかもしれない。海産物から飛び火して、いずれ輸出品全部が対象になりかねない。
その流れが広がりだしたらこれは経済封鎖的危機になる。それをずっといい続けていたら『小沢は左翼にでもなったのか』なんて言う(笑)。冗談じゃない、現在は原発事故有事であり、核戦争級の危機なんです。なのに福島の皆さんでさえ怒らない。国会議事堂を取り囲むような事態が起こってもおかしくないはずなのに」

小沢さんが考える福島県住民への対応策は?
小沢「事故現場周辺は安全には住めない。だから住民に正直に説明し、第二の故郷と再出発の支援をする。仕事も用意し、前向きな人生を送らせるべき。しかし、今の政府はわずかのお金だけ渡して無為に時間を過ごさせている。これほど残酷なことはない。ましてや帰還を促すような動きさえある。チェルノブイリ原発30キロは27年経っても立ち入り禁止区域です。なのにチェルノブイリを超える福島事故を、政府が環境や人間への影響が少ないとミスリードしているのは、無神経極まりない。。故郷を破壊したことを率直に詫び、新しい人生を約束する政治家がいないんです」

政策を推進した自民党時代、原発に関する論議は党内でありましたか?
小沢「1975年、私が科学技術庁の政務次官の頃、商業炉開発の中で高レベル廃棄物をどうするかの議論がありました。当時からガラス固化技術導入が考えられていましたが、必ずしも万全ではない。特に地震も多いわが国では安全が保護できない。しかし、この問題はいずれ技術的に克服できるだろうと私自身も含め誰もが考えていました。
しかし、それから40年も経とうという今日でも、なお有効な方法は見つかっていません。
そういう状況の下で原発事故が起こった。こうなった以上止めるしかない。ドイツはチェルノブイリ事故で脱原発したのではなく、今回の福島の事故によって決断したんです。なのに当時者国である日本は、安倍政権の下で積極的に原発推進政策を推し進めている。これは明らかに変です。遠からず事故がとんでもないことになったと気がつく時が来ると思う」

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[月刊『宝島』2013年11月号]


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