雑品スクラップを積んだ外国船籍の貨物船が、火災を起こすケースが各地で相次ぎ、2012年は過去10年で最多の11件だった。リーマン・ショックのあった08年ごろから目立ち始め、同年から今年7月末までで全国で31件。うち6件が大阪湾だった。消火が難しく、鎮火まで長引くこともあり、海上保安庁などが安全指導を強化している。(長谷部崇)
昨年9月、スクラップ約千トンを積んだパナマ船籍の貨物船「ハオハン号」(1999トン)が、関西空港沖を航行中に出火。火は収まらず、堺海上保安署などは堺泉北港(大阪府泉大津市)まで船をえい航。クレーンで船倉内のスクラップを一つずつ陸揚げし、夜通し消火作業に当たった。
こうしたスクラップ積載船の火災は、1~3件程度の年が多かったが、10、11年は6件、12年は11件に増えた。今年も7月末までに4件発生している。
船の行き先の多くが中国だという。資源関係の市場調査会社「アイアールユニバース」(千葉県船橋市)の棚町裕次社長は「『国内では商品にならないスクラップも、市場の広い中国に送れば売れる』と考える業者が増えた」と指摘。輸出スクラップへの混入が禁止されている、家電製品や車両用バッテリーなどが入り、船舶火災につながっている可能性があるという。大阪湾に目立つのは、近隣地域にスクラップ業者が多いことなどが要因とされる。
船倉内に水がたまると沈没の恐れがあるため、思うように放水できず、火災後の処理も長引きがちで、関係者の頭を悩ませる。
航行不能となったハオハン号は、最終的にスクラップ業者に売却されたが、それまで半年間も堺泉北港に係留されたまま。今年1月、淡路島沖を航行中に出火したカンボジア船籍の貨物船「チャンシン号」(1292トン)も、鎮火が確認されるまで40日かかり、神戸港を出港できたのは3月末だった。
海上保安庁などは、乗組員やスクラップ業者に、異物の除去や温度測定を徹底するよう指導している。
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