イタリアの議会第2勢力で連立政権に加わる中道右派政党「自由国民」は28日、同党所属の閣僚5人が辞任すると表明した。表向きの理由は付加価値税(VAT)の税率引き上げへの反対だが、背景には党首であるベルルスコーニ元首相の議員資格剥奪問題がある。レッタ政権は同党の支持なしには存続が難しく、政権崩壊の危機に直面している。
4月に発足したレッタ内閣では10月1日に予定する付加価値税(VAT)の引き上げを巡り、撤回を求める自由国民と税収確保を重視するサッコマンニ経済・財務相らとの対立が激化。レッタ首相は27日に内閣での議論を中止し、30日か1日に議会の信任投票を求める考えを表明していた。
元首相は自由国民の閣僚5人を辞任させると表明した28日の声明で「VAT引き上げは連立協定違反」とレッタ首相を非難。一方の首相は5閣僚の辞任表明を「無責任で常軌を逸した行動」とし、元首相が保身のためにVATを口実にしていると反論した。
自由国民が閣僚の辞任表明にまで踏み込んだ背景には元首相の上院議員の資格を巡る対立がある。レッタ首相が所属する議会第1党の中道左派・民主党は8月に脱税で有罪が確定した元首相の議員資格剥奪に賛成。自由国民は元首相が議会から追放されれば連立から離脱すると主張してきた。
ナポリターノ大統領は今後、新たな連立に向けて政党間調整を図るか、解散・総選挙かの判断を迫られる見通し。大統領は28日に「必要なのは選挙の繰り返しではなく、政府の持続性だ」と発言しており、選挙を回避する方向で各政党に働き掛けるとみられる。
議会の下院では自由国民が離脱しても連立与党が過半数を占める。ただ、下院とほぼ同等の権限を持つ上院では半数を割り込む。野党「五つ星運動」を率いるグリッロ氏は連立を拒否し、総選挙実施を求めている。自由国民や五つ星を離脱して政権を支持する議員が出たり、選挙後に民主党との連携を解消した左派の小政党が連立に加わったりする可能性もある。
金融市場は政局混迷で景気回復や財政再建が遅れ、ユーロ圏の危機が再燃するとのシナリオを懸念。イタリア国債10年物の利回りは8月半ばには4.1%台だったが、9月27日には4.5%台へと上昇している。(ジュネーブ=原克彦)
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