金融庁は27日、みずほ銀行に対し、暴力団構成員など反社会的勢力との取引を把握しながら2年以上、事実上放置していたとして、業務改善命令を発動した。立ち入り検査の結果、自動車購入者に対する信販会社オリエントコーポレーションなどを経由した提携ローンで、230件(2012年秋時点の残高、2億円超)の不正取引が発覚した。事後対応の不備も重なり行政処分につながった。
金融庁が反社会的勢力との取引に関連して、大手行に行政処分を出したのは07年の三菱東京UFJ銀行以来。金融庁はみずほ銀に対し、経営責任の所在の明確化、法令順守の強化、再発防止策を盛り込んだ改善計画を10月28日までに提出するよう命じた。みずほ銀は担当役員を含めた社内処分を検討している。
不正取引の舞台となった提携ローンは主に自動車ディーラーを窓口にして、車を買った顧客に対し、信販会社が審査・保証し、銀行が融資する仕組み。信販会社がまず審査するため、銀行のチェックが甘くなった可能性がある。提携ローンは他行も手掛けており、金融庁は定期的な検査で点検するほか、残高が多い銀行には集中的に聞き取り調査を実施する。
行政処分に至ったのは事後処理の不備も大きい。多数の反社会的勢力との取引があるとの情報は担当役員止まりとなっており、頭取をはじめ、ほかの経営陣には届いていなかった。さらに2年以上の長期にわたり、抜本的な取引の防止や解消策を講じていなかったことが問題視された。
230件に上る不正取引の多さも問題視されているが、金融庁は「特定の勢力と取引していたわけではない」としている。
人気記事をまとめてチェック >>設定はこちら