課題点検:’13年杵築市長選から/下 病院再建 医師確保が急務 /大分
毎日新聞 2013年09月27日 地方版
今年1月、市立山香病院の事業管理者兼院長が辞表を提出した。脊髄(せきずい)治療で県内外から患者を集めてきた整形外科医。後を追うように同科医師ら4人が3月末までに辞職し、整形外科は医師ゼロになった。
背景には、病院運営を巡る院長と市執行部の間の「考え方の違い」があったという。
旧町立山香病院として設立された同病院の収支は2011年度約8000万円の黒字。現金預金も約11億円あった。経営難にあえぐ地方公立病院が多い中、“優等生”だったといえる。
収益の柱は整形外科手術だった。138床の病床稼働率は約98%で、うち約6割は整形外科。「整形外科偏重」の経営に対しては「整形外科が長期入院を抱えるため、内科の入院希望に応えられない」との指摘もあった。
突然の大量退職は、病院経営に大打撃を与えた。院長交代に伴う方針転換で2月以降の入院患者は激減。さらに辞めた医師やスタッフの退職金支払いなどで12年度決算は一転約1億円の赤字に。
医師は今年2月の12人から一時は6人にまで減った。9月1日に大分大から小野隆司・新事業管理者兼院長(総合診療科)が赴任し、ようやく7人になったが、医師不足は否めず、病床稼働率も約7割に低下。今年度も4〜8月の5カ月で赤字3700万円を出している。
小野院長は「今は、地域住民が受けるべき医療サービスを受けられていないし、最悪の経営状態。短期的には、県や大分大に要請して医師を確保することが課題」と分析。さらに再建に向けた中長期的な取り組みについて、こう話す。「一部の診療科に特化するのではなく、内科を中心に地域ニーズにあった医療を提供し、信頼を取り戻す」(この連載は祝部幹雄が担当しました)