名古屋−川崎 試合に敗れスパイクを投げつける闘莉王=瑞穂陸上競技場で(布藤哲矢撮影)
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名古屋グランパスはホームでの川崎戦に1−2で競り負けて3連敗。13位に転落した。FW永井謙佑(24)が初スタメンで起用され、DF田中マルクス闘莉王(32)が負傷から5試合ぶりに復帰したが、最後まで劣勢だった。首位の横浜Mは仙台と0−0で引き分け。2位の広島は鳥栖に2−0で下し、2連勝で首位に2差に迫った。3位浦和は湘南と2−2で引き分けて勝ち点48。鹿島は遠藤の2ゴールなどで最下位の大分に3−1で逆転勝ちし、勝ち点を47に伸ばした。
◆川崎2−1名古屋
3連敗に肩を落とし、スタンドへあいさつに向かう選手たち。その列の先頭で闘莉王がただ一人怒りをあらわにした。
「早く並べよ。おまえらが恥ずかしい試合をしたんだろ」。脱いだスパイクを、ロッカーの前で激しくたたきつけた。ロスタイム5分過ぎ、DF田中隼によるゴールで1点を返したが、反撃があまりにも遅すぎた。沸き起こる拍手にも無力感が漂った。
右足首の痛みをおして、5試合ぶりにピッチに立った。闘将の気迫に応えるように立ち上がりは何度もチャンスをつくったが、自身が絡んだ失点から微妙に流れが変わる。前半33分、カウンターから川崎FW大久保のドリブルに対応しきれず、先制点を許した。「(左に)切り返すとは思わなかった。予想外の動きをされた」と悔しさをにじませた。
痛恨の失点を取り返すべく、終盤はMFの位置で自ら攻撃を組み立てた。故障明けにもかかわらず攻守2役で奮闘。FW永井も加入後初スタメンで起用されたが、チーム全体に逆境をはね返す力がなかった。
「リズムは悪くなかったけど点が取れなかった。サポーターがブーイングをするのは正しい」。試合後の闘莉王の怒りは勝利へ導けなかった自らへの憤りでもあった。
その一方で努めてポジティブにこう付け加えた。「これが(2010年に)優勝したチーム。今は歯車がかみ合っていないけど、また強いグランパスに戻れるとオレは思う」。攻撃力の高い川崎をシュート数で18対7と圧倒したように内容には光明も見えた。
これで13位に転落。闘莉王の言葉通りに強さを取り戻せなければ、05年に記録したチームワースト(当時は18チーム制)の14位すら塗り替えかねない。 (木村尚公)
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