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米国とイラン―対話の機運を逃すな

世界の和平と安定に影響力をもつ大国同士でありながら、35年近く絶縁状態を続けている。米国と中東のイランは、そんないびつな関係にある。欧米の自由主義と厳格なイスラム教シー[記事全文]

JR事故判決―経営陣に罪はないのか

企業トップの罪を問う難しさが、またも示された。107人が死亡した05年のJR宝塚線脱線事故で、業務上過失致死傷罪で強制起訴されたJR西日本の歴代3社長に対し、神戸地裁は[記事全文]

米国とイラン―対話の機運を逃すな

 世界の和平と安定に影響力をもつ大国同士でありながら、35年近く絶縁状態を続けている。米国と中東のイランは、そんないびつな関係にある。

 欧米の自由主義と厳格なイスラム教シーア派。両国が背負う文明の衝突は冷戦期から世界に数々のひずみを生んできた。

 その首脳同士が、電話で直接会話を交わした。1979年のイラン革命での断交以来、初めてのトップ対話である。

 わずか15分とはいえ、かつて「大悪魔」「悪の枢軸」と憎しみ合った宿敵の間柄だ。友好の意思を確かめた意義は大きい。

 だが、むろん、この一歩は外交儀礼に過ぎない。実質的な関係の進展はまだ何もない。国際社会全体で、対話の芽を育てる辛抱強い構えが必要だ。

 両国の対立は、諸悪の根源といっていい。イランが反米に転じた革命後、抗争は激化し、80年代のイラン・イラク戦争で米国はイラクに肩入れした。

 それがのちにフセイン政権を強大化させ、米自身が打倒したのが03年のイラク戦争だった。世界に残した傷は深かった。

 反イラン政策が自らの首を絞める。その構図は原油市場にも通じている。大産油国イランへの禁輸制裁は、米欧の石油大手の市場開拓にも足かせとなり、日本も油田権益を手放した。

 一方のイランの疲弊も深い。テロの輸出ともいわれた極端なイスラム主義と反米政策のため孤立し、経済は細った。国民生活の困窮がこの夏、対話重視型の大統領を選んだ主因だ。

 不毛な争いをやめるのが理にかなうことは明らかだ。双方の国内では今後も保守派が歩み寄りに抵抗するだろう。それでも今の不安定な世界には、この対話の機運を逃す余裕はない。

 最大の争点は核問題である。イランの疑惑は、周りのサウジアラビアなどに連鎖する核開発のドミノ現象を起こしている。

 イスラエルが軍事行動を起こせば、地球規模のテロ戦争にもなりかねない。そんな悪夢を防ぐ責務が、両首脳にはある。

 イランがもし米国と歴史的な和解を果たすことがあれば、それは北朝鮮にも核放棄を迫る強力なメッセージとなろう。

 まずは、核をめぐる国際交渉の前進を図ることが大切だ。濃縮ウランの国外処理などでは、ロシアが果たす役割が大きい。

 折しも、シリア問題をめぐる国連安保理決議が米ロの粘り強い交渉と合意で実現した。

 イランは、シリアのアサド政権の最大の後ろ盾でもある。米ロは引き続き、暗雲を吹き払う外交力を発揮してもらいたい。

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JR事故判決―経営陣に罪はないのか

 企業トップの罪を問う難しさが、またも示された。

 107人が死亡した05年のJR宝塚線脱線事故で、業務上過失致死傷罪で強制起訴されたJR西日本の歴代3社長に対し、神戸地裁は無罪を言い渡した。

 利益を追求し安全をおろそかにした経営陣の姿勢が事故につながったのではないか。そうした遺族の思いを受け、検察審査会は強制起訴にもちこんだ。

 だが公判では、現場カーブに安全装置を付けなかったことだけが争点になった。裁判所は、元社長らは個人として事故を予見できなかった、と判断した。

 この3人とは別の元社長は検察に起訴されたが、昨年、無罪が確定した。過失犯では個人の責任しか追及できない現行刑法の限界といえる。

 遺族らは判決後、法人を処罰できるよう、法改正を訴えた。

 英国は07年、注意を怠って死亡事故を起こした法人に刑事責任を問い、上限なく罰金を科せる法律を制定した。

 80〜90年代に船舶や鉄道で多くの人が亡くなる事故が続いた。だが、大きい企業ほど経営陣は有罪とならず、世論の批判が強まったためだった。

 日本でも、高度成長期に起きた公害や85年の日航ジャンボ機墜落事故で、法人処罰の導入を求める声が上がったが、刑法改正には結びつかなかった。

 鉄道や航空、船舶事故は、運輸安全委員会が調査し、原因を究明する。日本では捜査との線引きが厳格ではない。このうえ法人の刑事責任も問えることにすれば、関係者が事故調査に真相を語らなくなる、という慎重論も専門家の間で根強い。

 だが、JR西という巨大企業のトップが、市民代表の検察審査会の判断で裁判にかけられた意義を考えてみたい。

 現在の鉄道のように安全システムが高度化するほど関係者は多くなる。その裏返しで、事故が起きても頂点の経営責任があいまいになる事態が繰り返されてきた。福島第一原発事故を防げなかった東京電力や、トラブルが続くJR北海道もそうだ。

 宝塚線事故の遺族は、JR西を長く率いた井手正敬元社長に公判で質問を重ねた。井手氏は「担当者に任せていた」と繰り返し、遺族をあきれさせた。

 企業が対策を怠って事故を起こせば、トップの刑事責任も問えとの民意は今後強まろう。経営者は常日頃からしっかりと向き合うしかない。

 安全管理責任をより確かなものにするため、法人処罰の導入の是非も、国レベルで議論を深めていってもらいたい。

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