「真の仲間」という言葉の気持ちわるさ

2013/09/27


イベントの帰り道にツイッターをやっておりましたところ、通りすがりのテレビマンに「真の仲間」がいないぼくは「悲しい」存在だ、と評価されました。今日はこの言葉について考えてみましょう。


「真の仲間」という言葉の気持ちわるさ

これ、人によって大きく価値観が分かれそうで面白いのですが、ぼくは「真の仲間」という言葉に強烈な違和感を覚えます。変な話、語義矛盾しているとすら感じてしまいます。


そもそも「真の仲間」とは、いったいどんな存在なのでしょう。

ブレークダウンして形容するのなら、「自分のことを理解してくれて、決して裏切らない存在」とでも言えるでしょう。

その逆、「偽の仲間」というのは「自分のことを理解してくれず、裏切ることがある存在」とも言えそうです。実際、そういう人を「本当の仲間」と形容する人はいないでしょう。

もし彼の言う「真の仲間」というものが、「自分のことを理解してくれて、決して裏切らない存在」だとするのなら、彼はその「真の仲間」に対して、過剰な「期待」を傾けていると考えることができます。「お前だけは『本当の仲間』だから、オレを裏切らない」と「信じている」いってもいいでしょう。

しかしながら、そういう「期待」は相手にとって負担を与えかねないものであり、裏切られる可能性も十分にあります。


「真の仲間」という言葉から、「相手を所有したいという願望」「相手は自分を決して裏切らないという根拠なき期待」の匂いを、ぼくはどうしても嗅ぎ取ってしまいます

…あぁ、書いててわかりましたが、ここが気持ちわるいんですね。ぼく自身も仲間は大切だと思いますが、相手をコントロールすること、相手に期待という負担を掛けること、相手を一方的に評価することは避けたいと考えています。それは相手の尊厳を軽視することなので。「真の仲間」と相手を特別に形容した時点で、これらの心理的バイアスから逃れることが困難になります。

実際、ぼくは誰かから「お前はオレの真の仲間だ」といわれても、嬉しい反面、正直「いやいや、そんなに押しつけないでくれよ」という気分も味わいます。ゆえにぼく自身からも「あなたはぼくの真の仲間だ」なんてことは言いたくありません。


「真の仲間」は「自分自身」である

あえて「真の仲間」は何か、と突き詰めてみれば、ぼくは「自分自身が真の仲間だ」という結論に至ります。自分は決して裏切らない(裏切れない)し、死ぬまで一緒にいる存在ですからね。

…で、そういうことを表明すると「あなたには友達がいなくて、可哀想ですね」と評価されるんですよね。ここまではセットですな。

以前「自分の最高の友だちは「自分」だ!「孤独」なんて怖くない!」という記事も書きましたが、ぼくは自分自身を友達にできることができれば、それは本当に豊かなことだと思っております。


ここら辺はもっとうまく言語化したいですね。みなさんは「真の仲間」がいますか?また、この言葉について、どのような感覚、論理を感じとりますか?

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