福山雅治主演映画　米でリメーク　「そして父になる」公開初日

　歌手で俳優の福山雅治（４４）が主演する映画「そして父になる」（是枝裕和監督）が、スピルバーグ監督率いるハリウッドの映画製作会社「ドリームワークス」でリメークされることが２８日、決まった。５月のカンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞、スペインで２８日まで開催されたサン・セバスチャン国際映画祭でもスタンディングオベーションで迎えられた作品は、さらに世界に向かって大きく羽ばたこうとしている。

　朗報は、公開初日の劇場にもたらされた。この日、主役の福山や、尾野真千子（３１）、真木よう子（３０）、リリー・フランキー（４９）ら出演者は、東京・新宿ピカデリーで舞台あいさつに立ったが、当初出席が予定されていた是枝監督の姿はなかった。ハリウッドでのリメークが合意に至り、契約のため急きょ、２７日に渡米していたのだ。

　是枝監督は米ロサンゼルスから、国際電話で福山らに「ドリームワークスとのリメーク契約が成立しました」と“生”報告。スクリーンには４時間前に撮影されたという是枝監督とスピルバーグ監督が笑顔で握手を交わす写真が映し出され、劇場は驚きと祝福に包まれた。

　スピルバーグ監督は、この映画が審査員賞を受賞したカンヌ国際映画祭の審査員長で、その時から同作を高く評価していた。

　「カンヌで初めて見た時、パワフルな人間関係に非常に感銘を受けた。生涯に一本の映画にかかわる機会に感謝したい」−。スピルバーグ監督のリメーク権取得についてのコメントも読み上げられ、福山は、「おめでとうございます。是枝さんの映画をスピルバーグ監督が気に入ってくれてアメリカでリメークされること、うれしく光栄に思っています」とロスの是枝監督に呼び掛けた。

　さらにうれしいニュースが飛び込んだ。スペインで今月２０日から開催されていたサン・セバスチャン映画祭で、同作が、観客の投票によって決まる「観客賞」を受賞した。

　「そして父になる」は、東京のエリート家庭の息子と、群馬の小さな電気店の息子の取り違え事件を通じて、家族とは何かを問い直す感動作。福山は、「子どもたちに僕ら大人が導かれてできた映画。子どもたちに感謝です」と、タイトルの意味をかみしめていた。

　○…是枝監督とスピルバーグ監督は、米ロサンゼルスのドリームワークスのオフィスで、現地時間２７日に対談した。

　是枝監督は、「アメリカの文化にあわせて好きにつくってください。オリジナルはあまり気にせずに」と語り、スピルバーグ監督は「アメリカと日本のカルチャーは違うけど、テーマは世界共通のものだから、いいものになるよ」と答えた。