東洋学園大教授で中国人学者の朱建栄氏【拡大】
【北京=矢板明夫】情報漏洩(ろうえい)の疑いで中国の国家安全省に拘束された東洋学園大学の朱建栄教授が、中国当局の取り調べに対し、「日本での講演や執筆活動の中で知らずに国家秘密を漏らしたかもしれない。故意ではなかった」などと供述し、“容疑”の一部を認めていることがわかった。中国共産党筋が明らかにした。
中国共産党筋によると、朱教授が1990年代に日本で出版した著書の中に、朝鮮戦争などに関する中国側の未発表資料が引用されていたほか、日本での講演やメディア関係者に送付したメールの中に、尖閣諸島(沖縄県石垣市)などに関する非公開の外交文書の内容があったという。朱教授はこれらの資料を日本で公開したことを認めたが、「国家秘密とは知らなかった」などと主張している。
一方、国家安全省側がもっとも問題視しているとされるのは、朱教授が日本の政府機関から資金提供を受け、中国の政治、軍事などに関する機密情報を収集し、提供したとの疑惑だが、朱教授はこれを否定しているという。