東電:柏崎刈羽原発6・7号機の安全審査を申請-規制委に
9月27日(ブルームバーグ):東京電力 は27日、柏崎刈羽原子力発電所6、7号機の安全審査を原子力規制委員会に申請したと発表した。東電は両機を今期中に再稼働し黒字化を目指しており、広瀬直己社長はこの目標を堅持する考えを示した。
東電の広瀬社長は27日午前、茂木敏充経済産業相と会い、「まさにこれからがスタート、しっかりと審査を進めさせていただきたい」と申請を茂木氏に報告した。これに対し、茂木氏は「単に規制基準をクリアするだけでなく、より安全性を高める努力を続けてほしい」との考えを伝えた。
広瀬氏は会談後に記者団に対し「スケジュール的にはひとつ進んだ」と発言。柏崎刈羽原発1-5号機の申請についても「並行的に」準備を進めており、「準備が整ったら手続きをしなければと思っている」と明かした。
原子力規制庁の森本英香次長は27日の会見で、柏崎刈羽原発6、7号機の安全審査の態勢や進め方については「できるだけ早く検討する」と話した。
東電が昨年5月に総合特別事業計画で示した今期(2014年3月期)黒字化の目標については「いまの状況では相当厳しいのは避けられない」と述べながらも、「全く変わりはない」との認識を示した。電気料金の再値上げについても「できたらしたくないというのは全く変わってない」との考えを強調した。
銀行団は最終調整銀行団は10月末に返済期限を迎える800億円の融資などの借り換えについて、今期の経常損益黒字化を求めていた。規制委に安全審査を申請し来期以降の収益改善に道筋がついたことから、三井住友銀行を主幹事とする銀行団は借り換えに応じ、融資を継続する方向で最終調整に入る。
広瀬氏は、銀行からの融資継続に向けて安全審査申請がどういう意味を持つかについては銀行団側の判断になると説明。その上で「悪いニュースではないとは思う」と述べた。「銀行に納得していただけるよう説明していくことが、私側のできること」との見解を示した。
東電の申請は、これまで申請に難色を示していた新潟県の泉田裕彦知事が26日に条件付きで承認したことを受けたもの。泉田氏は、事故時に放射性物質を含んだ蒸気を放出するためフィルターベントを使用する際には県の了解が必要であることや、県との協議後に修正申請することを申請書に盛り込むことを条件として示した。
泉田氏は東電の申請後、「県が申請を承認する際に付した条件については、真摯(しんし)に対応していただいているものと受け止めている」とのコメントを発表。規制委に対しては、原発内の装置の性能基準だけでなく「地域の安全をいかに確保するかという視点で、審査を行っていただきたい」と要請した。
参考人招致衆院産業委員会は福島第一原発の汚染水問題で午後1時から閉会中審査を開催。招致された広瀬社長は汚染水の問題について、あらためて謝罪した。
富国生命投資顧問の桜井祐記社長は、活断層の問題や汚染水漏れの問題など「震災から時間が経っているのにも関わらず解決していない問題が多すぎる」と述べ、「この状況が東電にとって良い、悪いなどと議論するには若干早すぎる気がする」と指摘した。
27日の東電の株価 は一時、前日比64円(11%)高の624円を付けた。日中上昇率としては1カ月ぶりの大きさ。終値は同37円(6.6%)高の597円。
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更新日時: 2013/09/27 17:56 JST