「公務員の退職手当(退職金)に充てるために発行する地方債のことです。かつては、勧奨退職者(早期退職者)向けにのみ発行が許可されていましたが、団塊の世代の大量退職の対策として、'06年度から、通常の60歳定年退職者向けにまで適用の範囲を広げたのです。それ以降、各自治体が続々と発行し続けています」
「借金」が一気に30倍超に!
次ページの図をご覧いただこう。全国の地方自治体の退職手当債の発行総額を棒グラフにしたものだ。'05年度には約73億円だったものが、発行条件が緩和された'06年度には一気に30倍以上の2383億円に増え、'07年度にはその倍以上の5389億円、'08年度には最高の5691億円にまで膨れ上がった。'10年度は減ったとはいえ、まだ2503億円も発行されている。市区町村を含まない47都道府県だけでも、その総額は1兆5127億円にも上っているのだ。総務省自治財政局地方債課は、こう説明する。
「団塊の世代の退職により、退職者が多数出ることが予想され、その山が'06年からだいたい10年間続くと考えられました。それを踏まえて国会で審議いただいて、'06年に法律が成立しました。10年間だけ認められたものとなっています」
退職手当債は、発行しようとする自治体が総務省の許可を得なければならない。許可制であることと、10年間の時限立法であることから、「厳格な条件」であるとして、法案はたいした反対もなく、あっさり国会を通過した。しかし、そもそも退職金のために地方債を発行するのは違法だとする意見もあるのだ。
前出・中野氏が説明する。
「赤字を補塡するための公債(赤字国債、赤字地方債)は、公共事業に限って発行が認められるという理屈は、成り立ちます。つまり、『将来の世代も利益を受けるから出してもいい』ということです。例えば、橋を作れば、将来の世代もその橋を使うのだから借金してもいいという理屈です。しかし、退職手当の場合は、将来も利益を受けるのかと問われると、理屈が立たない。その点を違法だと指摘する声もあるのです」
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