谷垣答申は、警察や教員を除く一般行政職の地方公務員について調査したもので、管理職を「課長補佐級」以上と定義している。そこで本誌も今回、全国47都道府県の最新の管理職の割合を調べてみた。自治体によって「課長補佐」の呼称が異なっているので、各都道府県に課長補佐に当たる役職を確認して調整した。それが別表である。まずはご覧いただこう。
表では、管理職が25%以上の都道府県を掲載したが、全部で39道府県に上った。その中で、福島、佐賀、長野、熊本、大分などの10府県が現在でも60%を超えていたのだ。橋下徹前府知事(現大阪市長)がコストカットに辣腕を振るった大阪府は18・6%で表に掲示していないが、それでさえ民間の17・6%(厚生労働省「'10年・賃金構造基本統計調査」による)を超えている。〝管理職がウヨウヨ〟の実態は何も変わっていないのだ。
なぜ、地方公務員にはかくも管理職が多いのか。その理由と弊害を、奈良県大和郡山市役所と新潟県庁に勤めた経験のある、兵庫県立大学大学院・応用情報科学研究科教授・中野雅至氏が説明する。
「中央官庁のキャリア官僚の場合、若い世代を早く出世させなければならないので、ベテラン組は無理やり辞めさせ、どんどん間引いていく。しかし地方の場合は、基本的にみんな定年まで勤める。誰も辞めないので、管理職がたくさんいる」
その弊害はシャレにならないものばかりである。中野氏が続ける。
「彼らは意思決定の権限はないけれど、『ああでもない、こうでもない』と口を出す。古い人なので、新しいことをやりたがらない。僕が新潟で課長をやった時も、若い人は新しいことをやりたがるが、年配の人は何かにつけ、『失敗する可能性がある』『無駄じゃないか』などとネガティブな面を強調して反対する。積極的に仕事をしたがらないのです」
こんな組織では、行政サービスの向上に結びつく新しい試みなど望むべくもない。冒頭の元職員はこんな体験を明かす。
「資産税課に配属された時、税金の滞納者からより多く徴収できる改善計画を出しましたが、上司に却下されました。滞納者の自宅を回っていないのに特殊勤務手当(注1)として一日400円支給するのを止めましょうと提案した時も、『同じ手当を出している納税課や市民税課とバランスがとれない』と断られた。公務員の世界は、とにかく横並びで変化を嫌がる人たちの集まり。管理職はその典型」
- 緊急警告もし福島第一原発を「竜巻」「台風」が襲ったら (2013.09.28)
- 米国産天然ガスの価格と日本のエネルギーコスト (2013.09.27)
- 『情熱大陸』がAR三兄弟・川田十夢氏に密着! 番組史上初の専用アプリを開発し、自分が見たいAKB48を選べる「多視点放送」を生中継で実験する! (2013.09.22)
- 真壁昭夫「シェール革命のインパクト」【第3回】国際政治の勢力構造を変えるほどのインパクト (2013.09.19)
- 原発停止で待ったなし! 高止まりするLNG価格引き下げのカギを握る経産省の思惑 (2013.09.18)
- 憤怒レポート第4弾 不平不満はすべて「手当」でカネに 地方公務員の「役人天国」にメスを! (2012.01.20)
- 週現スペシャル 日本はギリシャそのもの ああ、公務員だけがこんなに幸せな社会 (2011.12.09)
- ふざけるな! 「公務員天国」 バラ色の給料とトンデモ手当 大反響第2弾 本当にギリシャになるぞ! (2011.12.22)
- 憤怒レポート第11弾 「給与7.8%カット」のウソに続き、ここにもインチキが。減らせる人件費は全体のわずか0・34%! 国家公務員「新規採用7割削減」 大ウソのカラクリ! (2012.03.24)
- 大反響!憤怒レポート第6弾 公務員の「退職手当債」を許すな! 「役人天国」は老後も血税でウハウハ (2012.02.03)
-
読書人の雑誌『本』より『桃源郷―中国の楽園思想』著:川合康三 南の島の涼み台 (2013.09.28)
-
経済の死角緊急警告もし福島第一原発を「竜巻」「台風」が襲ったら (2013.09.28)