新潟・柏崎刈羽原発:再稼働申請 「ベント」「断層」が焦点 初の沸騰水型、ハードル高く
2013年09月28日
東京電力は27日、柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県、出力各135・6万キロワット)の再稼働に向けた安全審査を原子力規制委員会に申請した。規制委は近く本格審査に入る。事故を起こした福島第1原発と同じ沸騰水型(BWR)の申請は初めて。このタイプでは、事故時の放射性物質の放出を減らすフィルター付きベント(排気)装置の設置が必須条件で厳しく審査されるうえ、活断層の有無も焦点となる。再稼働に向けたハードルは高い。
申請を受け、規制委は10月2日の定例会で、審査態勢を議論する。審査チームには数人を増員する方針。
フィルター付きベント装置をめぐっては、新潟県の要請で、東電は「立地自治体の了解の後に運用開始する」と申請書に明記。操作手順も地元との協議をへて定めるとし、自治体の対応次第で再稼働時期が延びそうだ。
4号機を除く原子炉建屋直下には断層があり、約20万〜30万年前に動いた形跡がある。東電は活断層説を否定するが、再調査を求められる可能性がある。活断層と判断されれば再稼働はできなくなる。事故時の対策拠点「緊急時対策所(免震重要棟)」は完成しているが、事故前の設計で、放射性物質を低減する機能が問われそうだ。
想定する最大の津波については、海底活断層が連動する範囲を考慮し、申請前の3・3メートルから8・5メートル(遡上(そじょう)高)に引き上げた。敷地は高さ12メートルで、「敷地への浸水はない」としている。地震の揺れは、従来想定と同じ1209ガル(ガルは加速度の単位)とした。
新潟県の泉田裕彦知事は27日、「県が付した条件は誠実に対応してくれた」と評価した上で、規制委に対し「住民被ばくを避けるという視点でも審査をしてほしい」と注文を付けた。東電が新たに追加設置を盛り込んだ地下型のベント装置について、同日の県議会で「放射性物質が直接放出される危惧は減少した。まっとうな考え方ではないか」と答弁した。
現在、柏崎刈羽以外は4社が6原発12基について再稼働申請している。いずれも加圧水型(PWR)で格納容器の容積が大きく、フィルター付きベント装置の設置は5年間猶予されている。【岡田英、塚本恒】