[大弦小弦]米軍基地をめぐって紛糾する…

2013年9月27日 09時26分
(27時間37分前に更新)

 米軍基地をめぐって紛糾する抗議現場を一歩離れれば、実は対立する者同士が同級生やPTA仲間ということも珍しくない。にらみ合いのすきを見てこっそり模合のお金の受け渡し-なんていうのどかな一コマも見たことがある

▼地縁血縁が強い沖縄では、たとえ思想信条が違っても、底流に相手への配慮が感じられることが多かった。むき出しの憎悪だけという光景は、あまり記憶にない

▼そんな雰囲気が一変したのは、ちょうど1年前。秒読み段階のオスプレイ配備を止めようとゲート前に座り込む人々に向かって、一部の見物人から「売国奴」「ゴキブリ」と罵声が飛んだ

▼嫌がっている人の顔を間近から執拗(しつよう)に撮影する。個人情報を調べ、職場にまで「辞めさせろ」と迫る。そこに、他者への敬意は見られない

▼社会的少数派を狙うこうしたヘイトスピーチは全国で問題になり、対抗する動きも広がっている。沖縄の高里鈴代さんらが共同代表に名を連ねる「のりこえねっと」は東京で先日発足し、「決して屈しない」と宣言した

▼昨年のオスプレイ配備以降、ゲート前では抗議行動が途切れず続く。参加者の大半は、沖縄戦や米軍統治をくぐり抜け、戦後社会を支えた世代だ。その彼らが、今もまさにヘイトスピーチにさらされている。見て見ぬふりで、いいのか。(鈴木実)

有料携帯サイト「ワラモバ」では、PCサイトにはない解説記事やスポーツ速報を掲載しています。» 詳しくはこちらから
« 最新のニュースを読む

写真と動画でみるニュース [一覧する]

沖縄ツアーランド