鶴竜を下し、懸賞金を手に引き揚げる白鵬=両国国技館で(沢田将人撮影)
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◇秋場所<13日目>
横綱白鵬(28)=宮城野=が大関鶴竜を一方的に押し出し、1敗で単独トップを堅持。2敗で追っていた大関稀勢の里(27)=鳴戸=が関脇豪栄道に押し出されて3敗に後退したため、14日目に白鵬が稀勢の里に勝てば4場所連続27度目の優勝が決まる。新入幕の遠藤(22)=追手風=は小結栃煌山の左すくい投げに屈して、4敗目を喫した。
稀勢の里が目の前で3敗目を喫しても、白鵬の表情はピクリとも動かなかった。静かに視線を落とし、再び集中を高めていく。「(稀勢の里が負けても)まあ、どうこうはない。いずれ対戦がありますから。気を引き締めていこうと」。取組前に2差がついたが、鶴竜戦に臨む心境にぶれはなかった。
動きの速い鶴竜を上回る横綱のスピード。土俵下まで押し出し、もらった2差をしっかり守り切った。
この日の朝稽古は場所が始まって初めて非公開にした。白鵬は「(報道陣が)うるさいから」と冗談ぽく話したが、稽古場にいた報道陣は部屋の外に促され、ドアを閉め切り稽古後の取材も受けなかった。
師匠の宮城野親方(元幕内竹葉山)は「集中してやらなきゃ、という感じじゃないですかね。気合が入っていた。すごく集中していた」と稽古場の様子を説明した。
14日目は稀勢の里との直接対決とはいえ、白鵬の優勝確率は過去のデータで100%。13日目で2差(15日制)をつけて逆転優勝を許した例は一度もない。
場所前に次の横綱候補を聞かれた白鵬は「難しい質問だねえ。稀勢の里関の綱とりがつながっていれば、彼の名前を挙げたけど。でも、チャンスはありますし、それにしとこう」と、稀勢の里を指名した。
その大関を相手に優勝を決める一番を迎える。もちろん容赦はしない。千秋楽を待たず4連覇で27回目の優勝を決められるか。「あしたは、いい相撲を取ってね。決めたいと思います」。高らかに宣言した。 (岸本隆)
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