当然ながら、北京の中南海の幹部の執務室を日本人が掃除したり、中南海の売店で日本人がアルバイトすることなどありえない。それを思えば、民主党政権時代に始まったこうした措置が、いかに平和ボケした愚行であるかが分かろうというものだ。
これと同様の問題が、防衛省でも起こっている。民主党政権は防衛省内に、民間のショップをオープンさせたのだ。
「尖閣諸島の問題が発生した昨年以降、中国当局が、喉から手が出るほどほしいのが、自衛隊の訓練の動向や、イージス艦など最新兵器の状況なのです。日本はもっと警戒を強めるべきです」(同・鳴霞氏)
実際、中国の台頭が顕著になったこの5年ほどは、防衛省・自衛隊は、暗躍する中国スパイに翻弄され続けている。
'08年には、海上自衛隊の3等海佐ら計38人が、中国側にイージス艦のレーダーシステムなどの情報を流すスパイ活動に関与していたと、防衛省が公表し、騒然となった。
また昨年11月には、中国共産党機関紙『人民日報』傘下の『環球時報』特約記者が、海上自衛隊佐世保基地に潜入し、護衛艦など約300枚の写真を撮っていたとして、兵庫県警に書類送検されている。
今年2月には、防衛省情報本部分析部の女性事務官が、中国人留学生に防衛機密を流していた疑惑が浮上し、小野寺五典防衛相が記者会見を開いた。
反日デモから1年を経ても、日中は当時と変わらない緊張関係にあるということをわれわれは知るべきだろう。
「週刊現代」2013年9月14日号より
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