スクープ 中国人社員に機密文書を盗まれた日本の有名企業30社人事情報から製品情報まで トヨタ ソニー パナソニック キヤノン 東芝ほか

2013年08月26日(月) 週刊現代

週刊現代経済の死角

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 しかし根本的には、中国において、無形財産の価値を認め、尊重しようという風土が形成されていないことが原因です。そのため個人が何の罪悪感もなく、自社の機密情報を、『百度文庫』などに掲載してしまうのです」(分部氏)

 要は、日系企業に勤める一部の中国人従業員たちの倫理観が欠如しているというわけだ。

 中国圏勤務16年の元三菱UFJ信託銀行北京事務所長・須賀努氏も語る。

「北京駐在時代に、部下の中国人に『他社の就業規則に関する情報がほしい』と言ったところ、部下が別の日系企業に勤める友人に頼んで、その企業の就業規則の現物を持ってきてしまい、扱いに困りました。親しい個人的関係は企業ルールを越えるのです」

日本人の考えは甘すぎる

 一方、「日本人の側にも責任がある」と指摘する専門家もいる。

 中国の日系企業9000社を顧客とする会員制日本語ビジネス月刊誌『日商快訊』の発行人である深圳在住の加藤康夫氏だ。

「要は日本人の考えが甘すぎるのです。こちらへ来るほとんどの日本人駐在員が、平和な日本と同じ感覚で仕事をしています。おそらく、自社の機密が常時、漏洩していたとしても、まったく気づいていないのではないでしょうか。

 例えば、わが社の会員データが入ったパソコンは、LANに繋いでおらず、インターネット回線すら繋いでいません。さらに厳重に施錠し、『このパソコンは厳重に保管されている』と記した顧問弁護士の証明書をパソコン脇に貼っています。中国ではパソコン一台にしても、そのくらいの警戒心を払わなければ、容易に情報漏洩してしまうのです」

深圳で会員制月刊誌ビジネスを始めて10年以上になる加藤氏は、これまで数多くの日系企業で、情報漏洩が起こるのを目の当たりにしてきたという。そして特に昨年秋以降、悪質な情報漏洩事件が多発していると指摘する。

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