スペイン列車事故の運転士、直前に携帯電話

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  • MATT MOFFETT

 【マドリード】先週スペインで起きた1940年代以来最悪の列車事故では、事故直前に運転士が業務用携帯電話で話をしており、速度も制限の倍近くに達していたことが30日、明らかになった。この事故では79人が死亡し、多くのけが人が出た。

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フランシスコ・ホセ・ガルソン運転士

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 フランシスコ・ホセ・ガルソン運転士(52)は、7月24日にサンティアゴ・デ・コンポステラ近くで事故が起きる数分前に、国鉄の同僚からの電話を受けた。事故が起きたガリシア地区の裁判所が列車のデータを記録している「ブラックボックス」を分析した結果として明らかにした。

 裁判所の声明は「会話の内容と背景の物音からは、運転士が地図、あるいはこれに類した文書を調べていたことがうかがえる」としている。また、運転士に電話をかけてきたのはおそらく国鉄のコントローラーのようだという。

 同裁判所は、現在過失致死容疑で取り調べを受けている運転士は脱線の直前に時速119マイル(190キロメートル)で運行しており、ブレーキがかけられたのは事故の数秒前だったとしている。脱線した時の時速は同95マイルで、制限速度の倍近い速度だったという。

 軽傷を負って治療を受けたあと病院を出た運転士は27日の夜、警察署に勾留された。28日には予審判事による取り調べを受けた。運転士はその後、条件付き釈放となったが、パスポートは取り上げられ、居場所を定期的に裁判所に報告しなければならない。

 スペインのメディアによると、運転士は判事に対して、事故当時は自分がどこにいるのか、どの鉄道ルートを走っているのか分からなかったと述べたという。鉄道運行コンサルタントで、鉄道に関して40年のキャリアがあるジム・スコット氏(米テネシー州キングズポート)は「彼は自分がどこにいるのかを調べようとしていたようだ」と話した。

 スペイン国鉄の広報担当者は、運転士は携帯電話を持っているし、列車には無線電話システムがあるとし、運転士が列車基地と連絡を取り合うのは「一定のルールに従っている限り普通のことだ」と述べた。

 国鉄の当局者はこれより先、ガルソン運転士は国鉄に入って数十年になり、同路線について相当な経験がある」と指摘している。

 事故の裁判でしばしば専門家として証言するスコット氏は、最近は携帯電話絡みの列車事故が増えていると述べた。よく知られた2008年には、米メトロリンクの列車がロサンゼルスのチャッツワース地区で貨物列車に衝突し、25人が死亡した。調査の結果、メトロリンクの運転士が鉄道マニアの10代の若者へのメールに気を取られている間に事故が起きたことが分かった。

 スペインではこれまでに携帯電話に気を取られたことで鉄道事故に遭ったケースが少なくとも1件あり、08年のこの事故では、14歳の女の子がバルセロナ近くの踏切で列車にはねられている。スペイン鉄道事故調査委員会によると、この事故では、携帯電話で話していた女の子が警笛を鳴らされても気づかず、ブレーキも間に合わなかったと運転手が証言した。

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