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石川のニュース 【9月25日02時38分更新】
消えゆくなじみの味 「ビーバー」福屋製菓破産へ
同社の負債は、帝国データバンク金沢支店が約1億6500万円、東京商工リサーチ金 沢支店が約1億7千万円とみている。 ビーバーの商品名の由来は、1970(昭和45)年の大阪万博にさかのぼる。カナダ 館のマスコット「ビーバー」を目にした女性社員が、「前歯の形と、揚げあられを二つ並 べた形がそっくり」と言ったところ、そのまま名前となった。 「強いぞビーバー! 福富屋製菓のビーバーですぞぉ〜」。前身の福富屋製菓時代に放 映されたアニメのテレビコマーシャルはお茶の間の話題となり、同社の看板商品として、 ピーク時には北陸三県のほとんどのスーパーで販売された。 福富屋製菓の菓子製造部門を独立させ、96年に福屋製菓を設立して以降も、鳴門の焼 き塩や日高昆布などの材料にこだわり、「味付けが少し濃かったりすると、お客さんから すぐ電話が入る」と発売当初の製法を守り続けた。しかし、消費者の好みが多様化する中 、大手メーカーとの販売競争は激化し、売り上げ減少が続いた。 巻き返しを図るため、コンビニエンスストアへの販路拡大や2005年にカレー味を発 売。10年には石川県産業創出支援機構(ISICO)の「活性化ファンド」の認定を受 け、地元産甘エビを使った新商品を開発し、県内だけではなく、県外のスーパーにも積極 的に売り込んだ。 しかし、1980年1月期には4億円近くあった売上高も、昨年1月期は6千万円台ま で落ち込んだ。大手メーカーが新商品を次々と投入する中、近年は主力のビーバー以外の 生産をほぼ中止しており、「一点豪華主義」の戦略は功を奏さなかった。 ISICOの担当者は「社長は非常にやる気のある人で、ビーバーの評判も良かったが 、設備が老朽化して量産化できなかったようだ」と指摘した。 24日、白山市下柏野町の福屋製菓に人けはなく、入り口は締め切られていたが、金沢 市中心部の商業施設の商品棚にはビーバーがずらりと並んでいた。店の担当者は「観光ガ イド本にも紹介されており、観光客が買い求めることも少なくなかった。県内でも根強い 人気があったのに残念です」と話した。
石川のニュース
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