中日新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社説・コラム > 社説一覧 > 記事

ここから本文

【社説】

「白斑」報告書 消費者最優先の徹底を

 カネボウ化粧品の美白商品を使って白斑被害が続出した問題で、外部調査の報告書がまとまった。異常を訴えた顧客の声を軽視し、製品の問題に気付く機会を重ねて見逃した無責任体制が問われる。

 「都合の悪いことは無視しようという態度が表れている」。外部の弁護士に依頼した第三者調査の報告書は被害対策に遅れたカネボウの姿勢を厳しく突いている。

 顔に白いまだらの症状が出たと、初めて被害相談が寄せられたのは二年前の十月。昨年二月には販売員にも症状が出たと報告があった。その後も被害情報は各地で寄せられ、同年の九月以降は、顧客を診察した複数医師から「美白剤が引き金になった可能性がある」と指摘を受けていた。このように顧客の声や医師の指摘など、何度も製品の異常に気付くチャンスがあったのに、まったく軌道修正ができなかった。

 同社の担当部署などは「白斑は体質の病気」と片付け、製品との因果関係を疑わなかったとされ、今年春に大学病院から指摘を受け、因果関係が確定的になってはじめて自主回収に動きだしたが、公表までさらに二カ月も遅れた。

 その結果、一万人もの被害者を出すことになった。報告書は、今年七月まで製品の自主回収を放置したことを重くみて、遅くとも化粧品と白斑の因果関係が疑われた昨年九月には適切な対応を取るべきだったと断じている。

 人の肌に直接触れる化粧品は安全が基本であるはずだ。しかし、カネボウは消費者を軽視した事なかれ主義に陥っていた。四年前、親会社の花王にならい、顧客から寄せられたトラブル情報や問い合わせを集約するシステムを導入していたが、機能していなかった。白斑のように当初から「個人の病気」と判断していた場合には、記録に残さなかったり、トラブルでなく「問い合わせ」に分類されたりしていた。

 美白製品は各メーカーが開発にしのぎを削る。調査を担当した弁護士が「消費者より商品を優先した」と指摘したように、看板商品で損失を出したくないという保身も働いたのだろうが、それでは本末転倒になる。

 カネボウは再発防止策として、品質管理部門を親会社の花王に統合し、トラブル情報などを受ける窓口を花王に集約する。システムの見直しは当然だとしても、顧客の声に誠実に耳を傾けるという鉄則を曲げず、社を挙げての意識改革を実行してほしい。

 

この記事を印刷する

PR情報



おすすめサイト

ads by adingo




中日スポーツ 東京中日スポーツ 中日新聞フォトサービス 東京中日スポーツ