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温暖化 日本の海面上昇を予測
9月27日 19時30分

国連のIPCC=気候変動に関する政府間パネルが27日に明らかにした想定に基づいて、海面がどの程度上昇するのか、これから20年後にかけた詳細な予測結果が初めてまとまりました。
日本付近は世界の中でも特に海面が上昇すると予測していて、専門家は浸水被害の危険性が高まると指摘しています。

予測をまとめたのは気象庁気象研究所や東京大学などの研究グループです。
IPCCが明らかにした報告書では、海水は温度が上がると体積が膨脹して海面が上昇するため、十分な温暖化対策を取らないと、2100年ごろまでに平均で水位が最大82センチ上昇するとしています。
海面がどの程度上昇するのか、研究グループは、大気や海水などをスーパーコンピューターで再現し、20年後の2035年にかけた詳細な予測を初めて行いました。
その結果、海面は上がったり下がったりを繰り返しながら長期的に上昇し、今から22年後の2035年には、1950年と比べて世界の平均でおよそ20センチ上昇することが分かりました。
日本付近は、暖かい黒潮の影響で、世界の中でも特に海面が上昇すると予測しています。

海面上昇したなかで台風に襲われたら

海岸工学に詳しい早稲田大学の柴山知也教授は、今世紀末、日本周辺の海水温が2.1度高くなり、海面が20センチ上昇するという想定で、台風が首都圏を襲った場合をシミュレーションしました。
台風は6年前に東京湾に接近した台風9号と同じ勢力で、このときは浸水被害はありませんでした。
シミュレーションの結果、海水温が高いため、台風の勢力は衰えず、上陸後も風速20メートル前後の非常に強い風が吹く状態が8時間ほど続きました。
東京湾の周辺では温暖化で上昇した水面が気圧の低下に伴って吸い上げられ、さらに風により吹き寄せられて、高潮と高波が発生します。
海面は6年前と比べると1.5メートル程度高くなり、満潮時、横浜港では波が地盤の高さを2メートル余り上回って、工場地域や地下街など広い範囲で浸水します。
台風の勢力が強まった場合は、東京都の沿岸など防潮堤が整備されている地域でも波が乗り越えて被害が発生するおそれもあるということです。
柴山教授は「東京湾だけでなく、大阪湾や伊勢湾など日本の低地に共通する課題だ。海水温が最近高いことなどを考えると、20年後、30年後に同様の危険がないとは言えない。将来のリスクも考えて対策を検討する必要がある」と話しています。

“猛烈な台風”毎年のように

名古屋大学や気象研究所などの研究グループは、温暖化の影響を予測する国の研究プロジェクトで、日本周辺で発生する台風の発生数や規模が今世紀後半にどのように変化するのか、予測しました。
予測は、スーパーコンピューターの中に日本周辺の地形や大気、海水などを2キロ四方で再現して、平均気温を2度上昇させて行いました。
その結果、台風の発生数は、1970年代から90年代は年間平均17.7個に対し、2070年代から80年代は12.6個と少なくなりました。
一方で、風速70メートルを超えるような猛烈な台風は14年間で12個と、ほぼ毎年のように発生し、この中には最大風速が80メートル以上と、これまでに経験したことのない予測もありました。
風速70メートルを超えるような台風は、日本周辺で記録があるのは、昭和34年に死者・行方不明者が5000人以上に上った「伊勢湾台風」と、昭和33年に東海や関東地方を襲って1200人以上の死者・行方不明者が出た「狩野川台風」など、3例だけです。

農産物などに大きな影響か

IPCCが予測したように地球温暖化が進むと、国内でも大きな影響が出ると指摘されています。
茨城県つくば市にある畜産草地研究所のグループは、気温が上昇すると豚の食欲が減退して太りにくくなり、夏場の豚肉の生産量の減少につながるという予測結果をまとめています。
それによりますと、国内の平均気温が現在よりおよそ2度上がると予測されている今世紀半ば、北海道の一部や標高の高い山沿いを除いた大半の地域で豚が太りにくくなり、特に関東より西の地域では1日当たりの体重の増加量が15%から30%減って、豚肉の生産量が減少する可能性があるということです。
また、農林水産省が温暖化が原因とみられる農作物や畜産物への影響を各都道府県に聞き取ってまとめたところ、去年は夏に高温が続いた影響で、コメの粒が白く濁って細くなる被害が29の府県で確認されたほか、11の県でりんごの実の色づきが悪く、品質の低下や収穫の遅れにつながったり、18の県で乳牛が夏バテして搾乳の量が低下したりしていて、その数はいずれも前の年より増えたということです。

温暖化から作物を守れ

こうしたなか、温暖化への対策も各地で始まっています。
トマトは高温や強い日ざしが原因とみられる影響で、収穫量が少なくなったり実が裂けたりする被害が各地で確認されています。
こうした被害を防ぐため、石川県の農林総合研究センターでは県内の織物メーカーやほかの自治体などと特殊なネットの開発を進めています。
このネットはポリエステル製の糸などで編まれ、光合成に必要な光は遮断せず、被害の原因となる赤外線の量を減らすことができます。
去年7月から9月にかけてトマトを栽培している農業用ハウスの天井部分にかぶせたところ、ハウス内の温度が通常のハウスより1度から2度ほど低くなって、茎や葉の成長も活発になったということです。
その結果、通常のハウスより、正常な株の割合はおよそ1.6倍、品質がよいことなどを示す等級の「秀」と「優」の収穫量はおよそ1.4倍に、それぞれ増えたということです。

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