財務省のウェブサイトにある「よくあるご質問」という項目の中で、国債に関しての質問と回答の変化がネットで話題になっている。
以前は、「日本が財政破綻した場合、国債はどうなりますか」という質問に対し、「国債は政府が責任を持って償還いたしますので、ご安心ください」という回答だった。
ところが、いまでは質問が「日本が財政危機に陥った場合、国債はどうなりますか」と「破綻」から「危機」に変わり、回答も「仮に財政危機に陥り、国が信認を失えば、金利の大幅な上昇に伴い国債価額が下落し、家計や企業にも影響を与えるとともに、国の円滑な資金調達が困難になり、政府による様々な支払いに支障が生じるおそれがあります。そうした事態を招かないよう、財政規律を維持し、財政健全化に努めていく必要があります」と変わった。
どうも今年になってから質問と回答が差し替えられたようだ。
まず、以前の質問と回答の内容がちょっとまずい。そもそも財政破綻というのは、デフォルトといい、一般論として国債の元利償還を従来のように実施できなくなった状態を意味しているので、「日本が財政破綻した場合、国債はどうなりますか」という質問自体がナンセンスである。しかも、回答はトートロジー(同義反復)であり、状態の説明だけで、何ら情報がない。
実際に重要なのは、そうした財政破綻にどの程度なるかということだ。この点については、同じ財務省のサイトで、2002年4月30日付「外国格付け会社宛意見書要旨について」という文書があり、その中で、「日・米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない」と記されている。考えられない財政破綻について、そうなったらという質問が同じサイト上にあったのが、整合性を欠いていたわけだ。
そこで、財政破綻から財政危機に質問を変更したのだろう。財政危機というのは、一般的に財政破綻の一歩手前の状態で、国債金利の上昇などが見られるものだ。
しかし、ここでも質問と回答はトートロジーになっている。財務省の説明手口として、仮に財政危機に陥った場合、大変なことになるというだけで、どの程度の確率で財政危機になるかについての情報はない。財政破綻が考えられないといっている以上、財政危機についてかなり確度が高くありえるという前提は説得的でない。
また、財政危機を招かないように「財政規律を維持し、財政健全化に努めていく必要があります」とあるが、これは正確でない。財政が経済の一部分である以上、経済成長なしなら、財政規律がいくらあっても財政再建もまず無理だ。むしろ経済成長なしで財政規律だけなら緊縮財政となるが、税収が減ることでかえって財政危機になってしまうだろう。
「まず経済成長を達成し、その上で適切な財政規律を維持し、財政健全化に努めていく必要があります」とすべきだ。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)