石巻出身チア、さわやか笑顔で楽天Ｖをサポート

ＫスタでのＰＶでチームに声援を送る永井さわやかさん

　未曽有の被害をもたらした東日本大震災の被災地・宮城は、楽天優勝の瞬間、熱狂に包まれた。本拠地・Ｋスタでのパブリックビューイング（ＰＶ）、南三陸町の仮設商店街、仙台市内のスポーツバー…。支援活動やプレーを通じて人々を勇気づけた地元球団の選手たちに、ファンは惜しみない声援を送った。

　楽天の公式チアリーダー「東北ゴールデンエンジェルス」のメンバーには、１１年の東日本大震災の被災者が計２人在籍している。そのうちの１人が、石巻市で震災に遭遇した永井さわやかさん＝年齢非公表＝だ。球団のパ・リーグ初制覇に「もう一言、うれしい。宮城が少しでも明るくなるのがうれしくて」と喜んだ。

　永井さんは、高校ではチアリーディング部。「石巻でたくさんの人から支援してもらっていたので、私ができることは何かと考えた。大好きな踊りで貢献したかったんです」。意を決して今年の入団テストを受け、見事合格した。

　震災当日は、石巻市沿岸の祖母宅で被災。「ここまで津波がくるから逃げろ」と注意された近所の人の声で、父、母、祖母とともに近くの山へ車で避難した。水が引かなかったために約１週間を車内で過ごし、一緒に逃げていた水産会社のトラックが積んでいたかまぼこ、ホタテなどを食べて何とかしのいだ。震災の翌日の１２日は誕生日。「そのときは１日中泣いていた記憶しかない」と振り返る。

　震災で「エンジェルス」自体も変わった。毎年オフのメンバー募集では、震災前は東京・大阪など全国各地から入団希望者が殺到していたが、１１年以降は地元以外からの応募は、ほぼなくなった。

　「今回の優勝で、また全国からの応募が復活すればいいですね。ライバル増えますが…」と永井さん。メンバーには「シャム猫みたい」と言われるキュートな顔をほころばせた。

（2013年9月27日06時03分  スポーツ報知）

Tweet