受刑中の選挙権を認めない公職選挙法11条の規定が憲法に違反するかどうかが争われた訴訟の控訴審判決が27日、大阪高裁であった。小島浩裁判長は「受刑者の選挙権を一律に制限するやむを得ない理由があるとは言えない」と指摘。「規定は違憲」とする判断を示した。
訴えたのは、受刑中のため2010年7月の参院選で投票できなかった元受刑者の男性=大阪市西成区。公職選挙法11条では、禁錮以上の刑を受け、執行が終わるまでの人には選挙権や被選挙権がないと定めている。男性は、この規定に基づいて違法に選挙権を否定され、精神的苦痛を受けたとして国に100万円の国家賠償を求めていた。
判決で小島裁判長は、受刑者には公正な選挙権の行使を期待できないとする国側の主張について、「受刑者であることのみから、ただちに法を守る意識が著しく欠けるとはいえない」として退けた。そのうえで、憲法改正の国民投票については受刑者にも投票権が認められているとし、「不在者投票で選挙権を行使させることが実務上、難しいとはいえない」と指摘。受刑者であることを理由に制限するのは違憲との判断を示した。
一方で国家賠償については、「(公職選挙法の)規定を廃止しなかったことが、国家賠償法上違法とはいえない」として、請求を退けた。
一審の大阪地裁判決(今年2月)は、「受刑者が一定の社会参加を禁じられるのはやむを得ない」と判断し、違憲確認の訴えを却下していた。