無許可コスプレ業者が３億円荒稼ぎ

　「戦隊もの」のコスプレ衣装を、著作権者の許可を取らずに複製して販売したとして、広島県警は２５日、著作権法違反容疑で広島市にある「永井製作所」社長、加藤伸枝容疑者（３９＝広島県熊野町）を逮捕した。特撮テレビドラマ「海賊戦隊ゴーカイジャー」のキャラクターが着用するジャケット４着を、著作権を持つ東映の許可を得ずに複製し、ネット販売した疑い。４０００種類以上のコスプレ衣装を販売し、約３億円を売り上げたという。

　戦隊ヒーローが、違法コスプレ業者を撃破した？　東映の著作権担当者が昨年６月、自社の許諾を得ていないスーパー戦隊シリーズのコスプレ衣装がネット上で販売されていることを発見。同７月に広島県警に告訴相談をした。県警が捜査を進め、立件の見通しが立ったため、東映が今月中旬に告訴状を提出。加藤容疑者の逮捕となった。

　逮捕容疑は今年３月から４月にかけて、社員と共謀して、「海賊戦隊ゴーカイジャー」のキャラクターが着用するジャケット４着を東映の許可を得ずに複製。計約３万２０００円でネット販売した疑い。東映テレビ商品化権営業部は「昨年６月に実際に商品を買ってみて、弁護士さんと確認した結果、著作権の侵害と判断して、県警に告訴の相談をしました」と説明した。購入したのは、シリーズ第２８作「特捜戦隊デカレンジャー」のキャラクターのコスプレ衣装１着だった。

　広島県警によると、加藤容疑者は「トライマックス」などの名前でインターネット上に６店舗出店。４０００種類以上のコスプレ衣装を販売していた。客の注文を受け、中国の業者に発注し、現地から直接発送させていたという。０８年１２月から今年４月までの間に約３億円を売り上げていたとみられる。加藤容疑者は「著作権については、すべて無許可で衣装を作っていた」と供述している。

　「トライマックス」のツイッターは４月２２日、「【魁（さきがけ）！！男塾】の衣装が新たに追加致しました！！」と、漫画作品の新たなコスプレ衣装を販売することをＰＲ。この書き込みの後は更新がない。公式ホームページでは、閉店の告知が掲載されている。ネット上では、扱っていたコスプレ衣装のリストが残存。ウルトラマンや仮面ライダー、機動戦士ガンダム、美少女戦士セーラームーン、「ＯＮＥ　ＰＩＥＣＥ（ワンピース）」など、特撮作品やアニメの題名が列挙されている。

　◆海賊戦隊（かいぞくせんたい）ゴーカイジャー　東映製作の特撮テレビドラマ。１９７５年（昭５０）に「秘密戦隊ゴレンジャー」から始まった「スーパー戦隊シリーズ」の第３５作。１１年２月から１２年２月までテレビ朝日系で放送。「過去に３４戦隊が守り続けて来た地球」という世界観を設定。本来の姿に加えて、過去のスーパー戦隊の戦士に変身できる。モチーフは、シリーズ初となる海賊。地球へ侵攻する宇宙帝国「ザンギャック」と戦う。

＜最近の主な違法グッズ摘発＞

　◆ワンピース　１０年９月、人気アニメ「ワンピース」のキャラクターの模造品を販売しようとしたとして、大阪府警は当時４４歳の会社社長ら計１１人を著作権法違反容疑で逮捕した。キャラクター「チョッパー」を模した絵柄入りの巾着（きんちゃく）袋３枚を販売目的で所持した疑い。

　◆ＡＫＢ４８　昨年８月、人気アイドルグループ「ＡＫＢ４８」の正規品でない写真を貼ったライターを販売したとして、札幌北署は当時２６歳の男性を商標法違反と著作権法違反で逮捕した。メンバーの板野友美と峯岸みなみの正規品でない写真を貼ったライター２個をインターネットオークションで計７５００円で販売した疑い。

　◆リラックマ　今年６月、岡山県警が当時４６歳の無職男性を著作権法違反の疑いで逮捕した。昨年８～１０月にインターネットオークションで、著作権者に無断で作った人気キャラクター「リラックマ」のステッカーを１枚８００円で３枚販売した疑い。

　［2013年9月26日9時26分　紙面から］