訪米中の安倍晋三首相は、集団的自衛権の行使を容認した場合、行使するかどうかの政策判断を地理的概念ではなく、国民の生命や財産の確保を前提に検討する考えを表明した。
裏返して言うと、国民の生命、財産を守るという名目があれば「地球の裏側」まで自衛隊を派遣することが可能になる。
戦後日本が国是としてきた「戦争放棄」「専守防衛」を事実上放棄するものであり、危ういタカ派路線の加速は看過できない。
地理的概念で成り立っている日米安保条約からも逸脱している。安全保障に関わる重大な内容を、国会で議論を尽くすことなく発言したのは国会軽視にほかならない。あまりにも軽率ではないか。
日米安保条約は、あらかじめ対象地域を定めている。第5条は「日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃」があった場合を前提にしている。共通の危険に対処する場合でも「自国の憲法上の規定および手続きに従う」と明記している。
米国が日本の防衛義務を負う代わり、第6条で日本は米軍に施設と区域を提供する。ただし在日米軍が展開する範囲は「極東」(フィリピン以北、日本およびその周辺地域)と限定している。
日米安保条約は対米支援のために地球の裏側まで出掛けていく内容ではないのだ。同条約が前提としている地理的概念を覆すというのなら、同条約を改めなければならないはずだ。首相は安保改定を企図しているのだろうか。
政府はこれまで「集団的自衛権は、国際法上は許容されるが、憲法は行使を禁じている」との解釈を堅持してきた。行使の容認は、自国が攻撃されていないにもかかわらず、同盟国の米国が攻撃されれば、米国と共に戦争に加担することにほかならない。
首相は米国で講演し、集団的自衛権の行使の容認に向けた憲法解釈の見直しの目的を「世界の平和と安定に、より積極的に貢献する国になる。積極的平和主義の国にしようと決意している」と説明した。
「積極的平和主義」とは何なのか。説明が全然足りない。憲法9条を改定し専守防衛、非核三原則などの国是を全面的に見直す考えなのか。重要な規範を解釈によって変更する手法は「法の支配」の否定であり、断じて容認できない。
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