ベンチの阪神・桧山=甲子園(撮影・白鳥恵)【拡大】
超満員にふくれあがった聖地で桧山がスタメンのコールを受ける。無数の旗が揺れ、レプリカユニホームを身にまとったファンの心が震える。『10・5』。神様が虎党の聖地に最も近い、右翼に降り立つかもしれない。引退試合で先発起用される見通しが明らかになった。
「順位が確定している段階なら、当然スタメンで起用することになる」
チーム関係者が明かした。3位・広島とは4・5差。今月29日にも2位が確定する。引退試合当日までに順位が固まっていないことは極めて想定しにくい。和田監督が桧山の名をスタメン表に刻めば、昨年5月27日の西武戦(甲子園)に「5番・右翼」で先発して以来、496日ぶりとなる。球団関係者によると桧山自身、打撃だけではなく、守備に関しての志が高く、右翼のポジションにもこだわりがあるという。ここ数年は一振り稼業に徹していたが、本来の持ち場は外野手。1953試合に出場し、うち先発で732度守備についた愛着のある右翼での出場となれば、甲子園のボルテージは最高潮に高まる。暗黒時代は主砲を担った。「4番・右翼・桧山」の可能性も十分ある。
これが終幕にはならない。すでに進出を決めているCSでも戦力構想に含まれていることが判明した。引退試合を終えた後、ユニホームを脱ぐ選手が多いが、球団首脳はこの日「もちろん出てもらう。そりゃそうでしょう」と力を込めた。桧山自身もこれまで「残されたチャンスを生かして、一番長く野球ができるように、皆と力を合わせて頑張っていきたい」と語っている。日本シリーズにつながるポストシーズンにも出場し、完全燃焼する。