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ソーシャルメディア、書き込みに潜む危険

2013年09月26日

 非常識な振る舞いを示した写真や、倫理観が問われる言動をツイッターなどに投稿し、大きな社会問題となる事例が続発している。さらには、日常の何気ない思いや、ちょっとした出来事を記しただけのつもりでも、思いもよらぬ重大な結果につながることも多い。利用者は便利で楽しいはずのソーシャルメディアに潜むリスクを理解する必要があり、企業も社内研修を行うなど対策に乗り出している。

 ソーシャルメディアとはフェイスブックやツイッターをはじめネットワークを形成するものやブログ、動画や写真の共有サイトなどを含め利用者が自ら情報発信する仕組みやサービス。その数は数千ともいわれ、多くの人が身近なものとしている。

 「◯◯市に出張中。商談もまとまり、これから一人で打ち上げです」。ある営業担当者がご当地の名物を撮影した写真とともに、こんなつぶやきを投稿した。一仕事を終えた解放感も手伝って気軽に投稿してしまいがちだが、そこには小さからぬ危険が潜んでいる。

 品川経営コンサルティング(東京都品川区)代表で「ソーシャルメディアリスク対策の実務」(秀和システム)などの著書がある塩原将さんは「業務中の居場所は機密情報。特定の企業と強く結びついた企業城下町が全国にあるなど出張先の市町村名が分かるだけで、誰と会っているかが推定されてしまいます」と解説。「一見、差し障りのないような投稿ですが、勤め先や相手先の機密を危険にさらし、競合社を利する可能性があります」と注意を喚起する。

 自分の居場所を示す「チェックイン」機能などソーシャルメディア上で各種情報が丸裸となっていく。「友達リスト」は「顧客リスト」として利用されるケースもあるという。

 「部署や事業所での達成会や反省会の投稿も要注意。集合写真で従業員の人数が分かれば売り上げなど事業規模を推定させてしまいます。仲間内なら笑い話になる写真や記述も他人が見れば不快と感じる場合があります」と塩原さん。

 富国生命保険は今月、ソーシャルメディアのリスク対策をテーマに社内研修を2回行った。産経新聞社が提供する講座で、塩原さんが講師を務めた。

 富国生命コンプライアンス統括部の中鶴正人部長は「ソーシャルメディアを利用する上でのルールづくりの必要性を感じています。リスクを身近なもの、自分自身の問題として受け止める必要が高まっています」と語る。コンプライアンス企画グループの板倉謙二副部長も「個人のプライバシーとの関係も含めた管理、監視システム、ルールを築かなければなりません。その素地づくりにもリスクに対する意識、認識を高める必要があります」。

 塩原さんは「ソーシャルメディアは、ここ数年でできた新しい言葉で、多くの場合、理解が進んでいません」と語り、ソーシャルメディア上の失敗は①匿名だから大丈夫②プライベートな発言だから大丈夫③後で削除すれば大丈夫④限定公開だから大丈夫―の「4つの勘違い」から生まれるとする。

 「いつでも、誰でも、どう読まれても困らない内容だけを投稿すべきです」と塩原さんは訴える。