9月26日の海外株式・債券・為替・商品市場
(ブルームバーグ):欧米市場の株式、債券、為替、商品相場は次の通り。
◎NY外為:円が対ドル5日ぶり反落-日本の法人税引き下げ観測で
ニューヨーク外国為替市場では、円がドルに対し5営業日ぶり反落。日本政府が法人税を引き下げるとの観測から株式相場が上げ、安全通貨としての円の需要が後退した。
円は主要16通貨全てに対して値下がり。法人税減税により日本企業の収益性が高まるとの見方が背景にある。ニュージーランド(NZ)ドルは上昇。先進国の中ではニュージーランドが最初に利上げを実施するとの観測が広がっている。ポンドは対ドルで値下がり。英国の4-6月の国内総生産(GDP)確定値が前年同期比で改定値から下方修正されたことが嫌気された。
ミラー・タバクのチーフ経済ストラテジスト、アンドルー・ウィルキンソン氏は「向こう数四半期で一段の円下落を見込んでいる。安倍首相の政策が成果を挙げつつある兆候が強まっているためだ」と指摘。「円は若干値動きの荒い展開が続いている。米債務上限をめぐる協議を背景とする安全需要と、日本政府による追加刺激策の可能性で上げ下げを繰り返している」と加えた。
ニューヨーク時間午後5時現在、円はドルに対し前日比0.6%安の1ドル=99円01銭。対ユーロでは0.3%下げて1ユーロ=133円52銭。ドルは対ユーロで0.3%上昇し1ユーロ=1.3489ドル。
法人税引き下げ日本政府は消費税増税に伴う政府の経済対策で焦点となっている法人税の実効税率引き下げに関し、早急に検討を開始すると明記する方向で調整に入ったことが26日分かった、と共同通信が伝えた。また自民党の野田毅税調会長は、安倍晋三首相が10月1日に経済対策を発表すると明らかにした。
みずほ銀行のストラテジスト、シレーン・ハラーリ氏(ニューヨーク在勤)は電話取材で、「法人税引き下げが順調に実施されるという事実が円の押し下げ材料になっている」とし、「法人税減税が、企業活性化という意味で政府が思い通りに政策を進めていると捉えられているのは確実だ」と続けた。
7-9月(第3四半期)はNZドルがこれまで7.2%上昇し、主要通貨中で最大の値上がりとなっている。一方で最も下げているのは南アフリカ・ランドで1.2%安。
NZドルはこの日、米ドルに対し1週間ぶり安値から反発。アジア株が上昇し、高利回り通貨の需要が支えられた。NZドルは対米ドルで0.6%上昇し1NZドル=0.8291米ドル。前日は0.8217米ドルと、18日以来の安値に下げていた。
TDセキュリティーズのアジア太平洋地域調査責任者、アネット・ビーチャー氏は「NZ準備銀行(中央銀行)が世界で最もタカ派的な中銀の1つだということが忘れられている」とし、「NZドルが若干上げてきていることは不思議ではない。上昇余地はまだあると思う」と続けた。
ポンドが安いポンドは主要16通貨の大半に対して下落。この日発表された英国の1-3月期の経常赤字の修正値では、赤字額が少なくとも1955年以降で最大となった。
4-6月期の英GDP(確定値)は前年同期比1.3%増と、改定値の1.5%増から下方修正された。
スタンダードチャータード銀の先進10カ国(G10)通貨戦略責任者、ネッド・ランペルティン氏(ロンドン在勤)は「前年比でのGDPの伸びが若干下方修正されたこともあるが、大きく影響したのは経常赤字だ」と述べた。
ポンドは0.3%安の1ポンド=1.6041ドル。
原題:Yen Weakens on Speculation Abe Will Cut Taxes; KiwiAppreciates(抜粋)
◎米国株:S&P500は6日ぶり上昇-失業保険申請が予想外に減少
26日の米国株 は反発。財政協議の難航が経済成長に影響する懸念はあるものの、新規失業保険申請件数が予想外に前週比で減少したことが買い材料となった。
電子商取引サイト運営最大手、eベイは上昇。ブレイントゥリーを8億ドルで買収し、モバイル取引事業を拡充する計画が好感された。家庭用品小売りのベッド・バス・アンド・ビヨンドも上昇。同社は業績見通しの下限レンジを引き上げた。レンタカーのハーツ・グローバル・ホールディングスは16%下落。業績予想の引き下げが嫌気された。
S&P500種株価指数 は前日比0.3%上げて1698.67で終了。ダウ工業株30種平均は55.04ドル(0.4%)高の15328.30ドルで終えた。
カー・マーバック(インディアナ州コロンバス)のマーク・フォスター最高投資責任者(CIO)は「経済ニュースはまずまず良好な内容となっている」と述べ、「ネガティブな材料としては、短期的に予算と債務上限という問題を抱えていることだ。ただ大きな問題になるとは考えていない。投資家はある程度、こうした問題に免疫がある」と続けた。
S&P500種 は前日までの5日続落で1.9%値下がりした。今月18日には米金融当局が緩和策の縮小を見送ったことに反応し、最高値を更新した。
失業保険申請件数労働省が発表した先週の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は30万5000件に減少した。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト予想の中央値は32万5000件への増加だった。また、商務省が発表した第2四半期(4-6月)の実質国内総生産(GDP、季節調整済み、年率)確定値は前期比2.5%増と、第1四半期の1.1%増から伸びが加速した。
投資家は米議会が政府機関閉鎖を回避できるのかどうか、動向を注視している。
米上院が今週末までに暫定予算案をめぐる採決を実施する可能性は低い。現在の予算は9月30日をもって失効するが、上下両院は暫定予算案で2010年成立の医療保険制度改革法(オバマケア)をどう扱うかについて意見が対立している。
ルー米財務長官は議会に対し、債務上限の突破を回避するために講じている緊急措置が「10月17日までに尽きる」と書簡で伝えた。
S&P500種の5日続落は昨年12月28日以来で最長。この時は米国が歳出の強制削減と増税が同時に発動される「財政の崖」問題に直面していた。
9指数が上昇シカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティ指数(VIX)はこの日0.4%上昇して14.06だった。
S&P500種産業別10指数のうち9指数が上昇。通信サービス株や選択的消費株が特に上昇した。eベイは4.5%上昇した。
ベッド・バスは4.5%高。同社は通期1株当たり利益を調整後ベースで4.88-5.01ドルと予想。従来予想の4.84-5.01ドルから引き上げた。
JCペニーは3%上昇。同社は下半期には好調な売れ行きを見込んでいるとあらためて述べた。同社の株価は年初来47%下落しており、手持ち資金が枯渇しつつあると懸念されている。
ハーツは16%安。同社は米空港でのレンタカー利用が予想よりも弱いとして、通期の売上高と利益予想を引き下げた。
原題:U.S. Stocks Snap 5-Day Slide as Jobless Data Offset BudgetWoes(抜粋)
◎米国債:5日ぶりに下落、7年債入札で需要が過去の平均下回る
米国債相場は5日ぶりに下落。7年債入札(規模290億ドル)では応札が過去の平均を下回った。連邦予算をめぐる交渉の行き詰まりが、政府機関の閉鎖につながる恐れがある。
7年債入札では投資家の需要を測る指標の応札倍率 が2.46倍と、過去10回の平均である2.63%を下回った。新規失業保険申請件数が予想に反して減少したことも売り材料。
CRTキャピタル(コネティカット州スタンフォード)のストラテジスト、イアン・リンジェン氏は「入札は良くも悪くもなかった」と述べた。「4日連続で上昇していた反動が少し出ている。失業保険統計と入札は米国債にはやや悪材料となった」と語った。
ブルームバーグ・ボンド・トレーダーによれば、ニューヨーク時間午後5時現在、既発7年債利回り は2ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の2.03%。同年債(表面利率2.125%、2020年8月償還)価格は1/8下げて100 5/8。10年債利回りは2bp上昇の2.65%。
10月以降に償還を迎える財務省短期証券(TB)の一部はレートがマイナスとなり、議会が債務上限の引き上げで合意できないかもしれなと投資家が不安になっていることを示唆した。
議会議会は2014会計年度(13年10月ー14年9月)の予算案を通過させていない。共和党はオバマ政権の成果の一つである医療保険制度改革法への関連予算打ち切りを暫定予算可決の条件としており、合意に至らなければ政府機関の閉鎖につながる恐れがある。
議会は債務上限の引き上げについても採決する必要がある。ルー財務長官は25日、議会に書簡を送り、債務の上限突破を回避している措置は10月17日に尽きると伝えた。
3カ月物TBレートはマイナス0.0051%と、昨年12月以降で初めてゼロを下回った。前日の終値はプラス0.0152%。
一方、10月24日に償還を迎えるTBレートは0.030%と、前日の0.018%から上昇した。約2年前の2011年7月29日には1カ月物TBレートは0.18%と、09年2月以来の水準に上昇した。当時はデフォルト(債務不履行)回避に向けた期限が8月2日に迫っていた。
クレディ・スイス・グループの金利ストラテジスト、アイラ・ジャージー氏(ニューヨーク在勤)は「債務上限をめぐる不運な出来事の影響で支払いが遅れる期間に陥ることがないよう、1カ月物TBを売って、3カ月物TBを買う動きになっている」と指摘した。
7年債入札7年債入札の最高落札利回りは2.058%。入札直前の市場予想は2.059%だった。前回(8月29日)の入札では2.221%だった。
海外中央銀行を含む間接入札者の落札全体に占める割合は42%。過去10回の平均は40.2%だった。
プライマリーディーラー(政府証券公認ディーラー)以外の直接入札者の落札全体に占める割合は17.8%。過去10回の平均は19.5%だった。
米財務省によると、今週の入札での新規調達額は477億ドル、償還される証券は合計623億ドルとなる。
原題:Treasuries Fall as $29 Billion 7-Year Sale Draws WeakerDemand(抜粋)
◎NY金:反落、失業保険統計を受けて緩和縮小観測が高まる
ニューヨーク金先物相場は反落。米新規失業保険申請件数が市場の予想に反して減少したことから、金融当局による緩和縮小は近いとの見方が強まった。
TDセキュリティーズ(トロント)の商品戦略責任者、バート・メレク氏は電話インタビューで、「失業保険の統計がそこそこ良かったので、緩和縮小への心配が再び持ち上がった」と指摘。「金市場は米経済統計に敏感に反応するようになった」と続けた。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物12月限は前日比0.9%安の1オンス=1324.10ドルで終了。年初からは21%の値下がり。
原題:Gold Declines as Surprise Drop in Jobless Claims Spurs FedBets(抜粋)
◎NY原油:6営業日ぶりに上昇、米経済統計を好感
ニューヨーク原油先物相場は6営業日ぶりに上昇。米新規失業保険申請件数が市場の予想に反して減少したほか、第2四半期の米経済成長が前期から加速したことが影響した。
みずほセキュリティーズUSA(ニューヨーク)の先物部門ディレクター、ボブ・ヨーガー氏は「この日の経済統計は明るい数字で、エネルギー需要に対する見方が改善されるだろう」と指摘。イランのロウハニ大統領がオバマ米大統領側から出された接触の打診を受け入れなかったことについて、「イラン大統領の国連訪問は予測、あるいは期待された結果をもたらしていない」と述べた。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物11月限は前日比37セント(0.36%)高の1バレル=103.03ドルで終了。今四半期入りしてからは6.7%、年初からは12%の値上がり。
原題:WTI Gains for First Time in Six Days Amid U.S. EconomicStrength(抜粋)
◎欧州株:変わらず、米失業保険申請件数は好感-H&Mは上場来高値
26日の欧州株式 市場では指標のストックス欧州600指数が前日比変わらず。先週の米新規失業保険申請件数が市場予想に反して減少したのがプラス要因であるものの、予算をめぐる米議会での対立で政府機関が閉鎖に追い込まれるとの懸念は根強い。
英ブックメーカーのラドブロークスは約1年ぶり安値。オンライン上の賭けなど、デジタル部門の利益が市場予想を大幅に下回りそうだとの発表が嫌気された。英旅行会社トーマス・クック・グループは6.6%下落。冬季の予約が鈍いと明らかにした。衣料品小売り世界2位、スウェーデンのヘネス・アンド・マウリッツ(H&M)は上場来高値。第3四半期利益が市場予想を上回った。
ストックス欧州600指数 は313.02で終了。米予算をめぐる懸念で、週初からは0.4%下げている。ただ、米金融当局の緩和縮小見送りを背景に、今月これまでは5.3%、6月末以降では9.8%それぞれ上昇し、4半期ベースで4年ぶり大幅高の勢いだ。
マーケット・セキュリティーズのチーフ欧州ストラテジスト、ステファーヌ・エコロ氏は「市場は明らかに不透明感を嫌っていて、米国の債務上限と当局がいつ緩和を縮小するかの2点が懸念材料であることは明確だ」と指摘。「これまで相場が順調に上げてきたことを考えれば、小休止があるのは当然だろう」と続けた。
米労働省がこの日発表した先週の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は30万5000件に減少。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト予想の中央値は32万5000件への増加だった。
この日の西欧市場では18カ国中10カ国で主要株価指数が上昇した。
原題:Stocks in Europe Are Unchanged as U.S.Jobless Claims Decline(抜粋)
◎欧州債:イタリア債が下落、入札控え-連立政権の先行きも不安
26日の欧州債市場ではイタリア10年債が9日ぶりに値下がりした。同国では27日、最大60億ユーロ相当の国債入札が実施される。
イタリア10年債利回りはここ3週間で最も上昇。脱税で有罪が確定したベルルスコーニ元首相が上院議員資格を剥奪された場合、同元首相を支持する議員らが辞職も辞さないとの構えを示したため、連立政権が崩壊するとの懸念が強まった。ドイツ10年債利回りは6週間ぶり低水準に下がった。欧州中央銀行(ECB)のアスムセン理事はこの日、金融政策は必要な限り緩和的にとどまると述べた。
INGグループのシニア金利ストラテジスト、アレッサンドロ・ジアンサンティ氏(アムステルダム在勤)は「明日に入札があるため、イタリア国債には幾らか圧力がかかっているかもしれない」とし、「新たな刺激策について中銀から発表がないか、市場は注視している」とも語った。
ロンドン時間午後4時26分現在、イタリア10年債利回りは前日比10ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の4.33%。5日以来の大幅上昇となった。同国債(表面利率4.5%、2023年5月償還)の価格は0.74下げ101.635。2年債利回りは7bp上昇の1.80%。
ベルルスコーニ元首相が率いる自由国民(PdL)のファブリツィオ・チチート議員は25日、「ベルルスコーニ氏が追放されれば、われわれ全員についても追放を宣言する可能性がある」と発言。これについてナポリターノ大統領はこの日、不安を引き起こすものだとして議員らをけん制する内容の声明を出した。
ドイツ10年債利回りは前日比ほぼ変わらずの1.83%。一時は15日以来の低水準となる1.81%となった。
英10年債もほぼ変わらず。ロンドン時間午後4時47分現在、同利回り は2.75%。8月27日以来の低水準となる2.72%を付ける場面もあった。同国債(表面利率2.25%、2023年9月償還)価格は95.7。
原題:Italian Bonds Decline Before Sales asBerlusconi Allies Mobilize(抜粋)原題:Pound Declines After GDP Report; U.K.Yields Reach 4-Week Low(抜粋)
更新日時: 2013/09/27 06:59 JST