井上
「また新たな詐欺の被害が広がっています。
『買え買え詐欺』。
国民生活センターによりますと、昨年度の被害額は500億円。
詐欺は1冊のパンフレットから始まります。」
“買え買え詐欺”信用させる手口
“買え買え詐欺” 信用させる手口
買え買え詐欺の被害にあった80代の男性です。
始まりは自宅に突然送られてきた、このパンフレットでした。
さまざまな仏像に加え、製作した仏師の写真も載せられるなどしっかりした内容でした。
被害にあった男性
「仏師の写真もある、彫刻する姿もある。
来年には90歳過ぎているから、人間国宝にでもなる人だと言っていた。
疑わなかった、信用していた。」
核心:どんどん信用させる
男性には、パンフレットが送られてきた後、電話がかかってきました。
“第三者が仏像を欲しがっているが、パンフレットを持つあなたしか買う資格がない”と言われた男性。
さらに“仏像を購入すれば高値で買い取る”と持ちかけられます。
被害にあった男性
「いくらかでも金が入ればと思って。
やはり欲があったから。」
その後、業者は直接仏像を届けにきました。
精巧なパンフレット、高値で買い取るという電話、そして直接商品を届けるという行動。
男性はすっかり信用させられていました。
結局、仏像7体に1,000万円を支払った男性。
しかし警察が鑑定した結果、仏像は高くても1体3万円程度でした。
被害にあった男性
「“詐欺は絶対ひっかからない”と。
そういう気持ちはあった。
やられた。」
「買え買え詐欺」と呼ばれるこうした手口。
国民生活センターにはさまざまな被害相談が寄せられています。
詐欺に使われたものにはこうした内容も。
国民生活センター 加藤玲子さん
「1つは水資源の開発事業についての案内パンフレット。
こちらは鉱山の採掘事業に関する案内パンフレットになってます。」
ありもしない事業の権利や未公開株を買わされたケースが多く、昨年度の被害は、全国でおよそ500億円に上るということです。
国民生活センター 加藤玲子さん
「勧誘してくる業者の手口も非常に巧妙。
被害が年々増加している。」
ありもしない話をどう信用させているのか。
かつて、同じ手口の詐欺に関わっていた男。
パンフレットは相手の警戒心を解くのに有効だと言います。
同じ手口の詐欺に関わった男
「案内資料は信用させる上で非常に重要。
受け取った人が、『きちんとした立派な会社なんだ』と。」
そして、ことば巧みに「もうけ心」や「欲」につけいると言います。
同じ手口の詐欺に関わった男
「『ごく限られた案内で、あなたは特別に選ばれた人です』って。
もうかった時の具体的な数字を入れて、相手の心にすり込ませる。
人間誰でも、程度の差こそあれ、欲はある。
その欲を、いかにつついて膨らませるか。」
あらゆる手で信用させていく「買え買え詐欺」。
どう対処したらいいのか。
国民生活センター 加藤玲子さん
「(相手の)話を聞かないのが大前提。
聞いてしまうと、電話を切るタイミングを逃してしまう人が多いと思う。
親切に丁寧に電話を切ろうとする人が高齢者には多い。
『忙しいので』『興味ありません』と話を聞かないで切るのが一番いい方法。」