新潟県知事 原発条件付き承認9月26日 18時57分
新潟県は、東京電力が柏崎刈羽原子力発電所の運転再開に向け、国に安全審査を申請することを条件付きで承認しました。
これを受けて東京電力は27日、国の原子力規制委員会に安全審査の申請を行うことにしています。
新潟県は26日午後、東京電力の増田祐治常務を県庁に呼び、柏崎刈羽原発の運転再開に向け、東京電力が国に安全審査を申請することを条件付きで承認する文書を手渡しました。
この中では、原発事故の際、放射性物質の放出を抑えながら格納容器の圧力を下げる「フィルターベント」と呼ばれる設備について、住民の被ばくを避けるための運用方法などについて県や地元自治体と協議を行うことなどを条件としています。
これを受けて東京電力は27日、国の原子力規制委員会に安全審査の申請を行うことにしています。
柏崎刈羽原発の運転再開を目指す東京電力の廣瀬社長は25日に新潟県を訪れ、フィルターベントを増設して安全対策を強化するとともに地元との信頼関係を重視する姿勢を示したのに対し、泉田知事は一定の理解を示していました。
文書を受け取った東京電力の増田常務は、「条件付きではあるが、承認をもらい大変ありがたい。条件に示されているフィルターベントの運用については、地元自治体と検討を進めていきたい」と話しています。
共通の認識持つことできた
新潟県の泉田知事は「きのうの東京電力の廣瀬社長との会談で、フィルターベントを使用した際、避難する住民が健康に影響のある被ばくをする危険性があることや、住民の安全を確保するには自治体との協議が必要だという共通の認識を持つことができた。フィルターベントの性能が十分なのか、避難計画と整合性が取れるのかなどについては、県の技術委員会でも検討する必要があると考えているが、それ以外の設備については、原子力規制委員会の確認を求めることは認め、条件付きで承認することにした」とするコメントを出しました。
東電「安全協定をしっかり順守」
新潟県が、柏崎刈羽原子力発電所の運転再開に向けて国に安全審査を申請することを条件付きで承認したことを受けて東京電力は、「国の審査は東京電力の安全対策が新たな規制基準に適合しているかを客観的に評価していただくものであり、新潟県のみなさまの安全・安心につながる大変重要な手続きであると考えております。安全協定をしっかりと順守し新潟県をはじめとする関係自治体のみなさまと十分協議させていただくとともに分かりやすい情報発信にいっそう努めていきます」というコメントを発表しました。
福島第一と同じ「沸騰水型」
東京電力が新潟県にある柏崎刈羽原発の運転再開に向けた安全審査を申請すれば、福島第一原発と同じ沸騰水型と呼ばれるタイプの原発では初めてとなり、原子力規制委員会が審査をするうえで、事故を教訓に安全性をどのように確認するのか問われることになります。
安全審査の申請をする柏崎刈羽原発の6号機、7号機は、おととし3月に事故を起こした福島第一原発と同じ沸騰水型と呼ばれるタイプの原発です。
原子力規制委員会は、運転再開を目指す6つの原発の安全審査を行っていますが、いずれも加圧水型と呼ばれるタイプで、柏崎刈羽原発が申請すれば沸騰水型では初めてです。
沸騰水型原発の審査の焦点の一つは、新たな規制基準で格納容器が比較的小さい沸騰水型に設置が義務づけられたフィルターベントです。
フィルターベントは放射性物質の放出を抑えながら格納容器の圧力を下げる装置ですが、福島第一原発の事故ではフィルターがないベントだったうえ、格納容器の圧力を下げる作業に手間取り、放射性物質が大量に放出されました。
このため審査では放射性物質を取り除きながら圧力をスムーズに下げられる構造かどうかや、電源を失っても手動で操作ができるか、それに大地震でも機能する耐震性などを確認することになります。
また審査では、これまでの加圧水型原発と同様に、電力会社の自主的な取り組みに任されてきた重大な事故への対策や、より厳しい評価が求められる地震や津波の対策も審議されます。
特に柏崎刈羽原発では6号機、7号機を含む原子炉建屋の直下に23本の断層がありますが、東京電力の「活断層ではない」という主張が審査で認められるかどうかも焦点となります。
一方で審査を行う原子力規制委員会はこれまで80人態勢で当たってきましたが、沸騰水型の原発の申請で異なる2つのタイプの審査をどのような態勢で行うのかは明らかにしていません。
規制委員会の田中俊一委員長は25日の会見で「審査のためにできるだけ多くの人材を確保したいが苦労している」と述べていて、原子力規制委員会が審査をするうえで、事故を教訓に安全性をどのように確認するのか問われることになります。
審査を拒む理由ない
新潟県の泉田知事は、東京電力が柏崎刈羽原子力発電所の運転再開に向け、国に安全審査を申請することを条件付きで承認したことについて、「東京電力は原発の安全性をより高めるために第三者の原子力規制委員会に審査してもらいたいということだったので、それを拒む理由はない。東京電力との協議の中で、フィルターベントを使用しても住民の被ばくが避けられると確認できるまでは使わないということが条件だ」と話していました。
広瀬社長「1つのステップ」
新潟県が東京電力に対して、柏崎刈羽原子力発電所の安全審査を国に申請することを条件付きで承認したことについて、東京電力の廣瀬社長は記者団に対して「時間はかかったが関係者に協議してもらって、ここまでこれたことは大変ありがたいと思っている。
新潟県の泉田知事は県民の安心、安全を考慮し条件を付けたと理解しているので、われわれもしっかり条件を満たすようにやっていかなければならないと受け止めている」と述べました。
また、廣瀬社長は「柏崎刈羽原発の再稼働はまだまだこれからの話であり、何月に再稼働ができるという見通しは明確ではないが、1つのステップだとは思っている」と述べました。
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