女性の深酒は「脳卒中のリスク高まる」 阪大など研究チーム発表
「お酒を飲みすぎると脳卒中のリスクが高まる」。女性にとって、気になる研究結果が発表された。
格別な仕事帰りの1杯。
東京・新橋の居酒屋からは、「飲まない日はあまりないですね」といった声が聞かれた。
しかし、飲みすぎにはご用心。
男性だけではない、女性にも潜む飲酒による脳卒中のリスクが明らかになった。
お酒を1日あたりビール大瓶で1本以上、日本酒だと1合以上飲むという女性は、脳卒中になるリスクが、1.5倍以上高いという調査結果が出た。
大阪大学と国立がん研究センターの研究チームが発表したこの結果。
岩手県や長野県、さらに沖縄県など、全国9つの地域に住む40〜69歳の女性およそ4万7,000人を、平均で17年間にわたり追跡調査し、飲酒と脳卒中の発症などとの関連について調べた。
「研究結果」を発表した大阪大学・池原賢代特任教授は、「1990年から追跡を開始して、平均17年間追跡を行いました。女性は、アルコールを習慣的に飲む方が少ないということで、研究がなされていなかった」と述べた。
調査の結果、1日あたりの飲酒量で、ビール大瓶1〜2本、または日本酒を1〜2合飲むという女性は、お酒を時々しか飲まない女性に比べ、脳卒中になるリスクが1.55倍高くなることが判明した。
さらに、ビール大瓶2本以上など、飲酒量が増えると、脳卒中のリスクは2.3倍にまで高くなることがわかった。
池原特任教授は「女性は男性より体が小さくて肝臓も小さいので、アルコールの分解が遅いといわれている」と話した。
女性に人気のワインに換算すると、およそ200ml。
1日にグラスで2杯以上飲み続けると、脳卒中のリスクが高まるという。
東京・新橋の居酒屋で、脳卒中などのリスク発表について聞くと、「えー」、「心配になりますけどね やっぱり」、「ちょっと控えようかなと思うんですけど。たぶん無理ですね」などといった声が聞かれた。
男性では判明していた飲酒と脳卒中との関連性が、女性でも確認されたのは、初めてのケースとなる。
同様の追跡調査では、過度な飲酒が女性の乳がんのリスクを高めるとの結果も出ている。
その一方で、お酒は「百薬の長」ともいわれている。
東京・新橋の居酒屋からは、「たまには潤滑油じゃないけど必要」、「ワインとかってポリフェノールとかあるじゃないですか、体に良さそうな面もありそう」などといった声が聞かれた。
赤ワインには、「動脈硬化を防ぐ効果がある」との研究結果もあるほか、医師からも、「適度な飲酒は健康維持につながる」との指摘もある。
帯津三敬病院の帯津良一名誉院長は「ワインが良いっていうのはね、これは有名な話ですもんね。コンスタントにある量を守っていく方がいい」と述べた。
大切なのは「飲みすぎないこと」。
内閣府所管のアルコール健康医学協会では、「適量の飲酒と週2日の休肝日を」と呼びかけている。