球宴後は32勝21敗1分け、9月以降に限れば14勝6敗の快進撃で広島が16年ぶりのAクラスを確定させ、クライマックスシリーズ(CS)進出を決めた。果たしてこの強さは本物なのか? 広島OBでもある本紙専属評論家の大下剛史氏は「今のセ・リーグではナンバーワンの強さ」と断言した。
【大下剛史 熱血球論】開幕前から言い続けてきたように、広島の投手陣はリーグでもトップクラスで巨人にもヒケをとらない。野手を含めた総合力でも上位の力があるだけに、CS進出が決まったぐらいで褒めていいものか…という思いがないわけではない。ただ、球宴明け直後に最大14あった借金を約2か月で完済目前まで減らした戦いぶりには賛辞を送るべきだろう。いかにして広島の快進撃が始まったか――を論じる前に、今年8月に日米通算4000安打を達成したイチローについて触れておきたい。彼ほどの打者でも、球場でメンバー表を見て自分の名前を確認するまで起用法が分からない現在のヤンキースでの立場にストレスを感じているという。選手というのは自分の役割がハッキリしてこそ力を発揮できるもので、それは今も昔も変わらない。
前半戦の広島の戦いがまさにそれだった。本塁打を含む複数安打を記録しても翌日はスタメンから外されたり、打率が上がり始めたと思ったら二軍落ちなどということもあった。もちろん、そんな状況下で結果が伴うはずもない。十分に優勝争いできる戦力を有しながら苦戦を続けたのは、選手起用に関する基準が明確ではなかったからだ。
戦い方に落ち着きが見え始めたのは8月に入ってからだった。前田健、大竹、野村、バリントンの4本柱に“ダメ元”の若手を2人挟んで中6日の先発ローテを確立。同13日の阪神戦から始まった4カード連続勝ち越しで上昇気流に乗ると、9月に入って以降はキラ、エルドレッドを核として1、2番に丸と菊池を配した現在の打線に固定した。野村政権下では最多となる9月10日のヤクルト戦から始まった7連勝も、そんな中で生まれたものだ。
ずいぶんと回り道したようにも思うが、首脳陣と選手が一丸となった現在の広島は、セ・リーグで一番強い。変な色気を出さずにこのままのペースで突き進んでいけば、CSでの大金星も夢ではないはずだ。
(本紙専属評論家)
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