浜岡原発:4号機再稼働申請へ 中部電、年度内に
毎日新聞 2013年09月25日 20時16分(最終更新 09月26日 00時17分)
中部電力は25日、運転停止中の浜岡原発(静岡県御前崎市)3〜5号機の再稼働に向け、最初に4号機の安全審査を年度内のできるだけ早い時期に原子力規制委員会に申請する方針を明らかにした。
原発の新規制基準に対応した安全対策工事の計画概要が固まったため。また、2015年3月末を予定していた3、4号機の工事完了について、追加対策が必要になったとして、4号機は15年9月末、3号機は16年9月末に延期すると発表した。
再稼働は、規制委の審査に合格し、地元自治体の了解を得る必要がある。安全対策完了も前提のため、実現しても15年10月以降となる見通し。中部電は浜岡原発停止で経営が悪化しており、再稼働を急ぎたい考えだが、地元の反発は根強く、了解を取り付けられるめどは立っていない。
追加対策の費用は約700億円を見込み、これまで明らかにしている対策も含めると、総額は3000億円規模に上る見通しだ。
発表した追加対策は、福島第1原発事故を受けて策定された新規制基準で新設・強化された項目が中心で、防波壁の地盤改良や配管の補強など地震対策▽火災感知器や耐火壁の追加設置など火災対策▽重要機器への防水カバー設置など浸水対策▽電源車の追加配備など電源機能強化−−など。
既に着手している防波壁の18メートルから22メートルへのかさ上げや、放射性物質を除去できる「フィルター付きベント(排気)装置」の設置などの完工時期も合わせて延期する。
追加対策は「3、4号機の工事を同時に行うのは効率的でない」(増田博武執行役員原子力部長)として、出力が大きい4号機を先行させる。3号機の安全審査の申請時期は「申し上げる段階にない」としている。5号機は、地盤の状況から想定される地震の揺れが3、4号機を大きく上回るため、引き続き工事計画を検討し、申請時期も未定という。
現時点で規制委に安全審査を申請しているのは、北海道、関西、四国、九州の4電力会社の6原発12基で、いずれも福島原発や浜岡原発とタイプが異なる加圧水型。【和田憲二、森有正】
◇「現実性ない」
静岡県の川勝平太知事は25日、浜岡原発の再稼働について「安全審査を受けることイコール再稼働ではない。県でも安全性はチェックしていくが、それも再稼働とは結びつかない。再稼働の現実性はないと思っている」と否定的な見方を示した。